174-2.ロティの出来る事
*・*・*
とりあえず、気を取り直して。
午後のパン作りのために私はロティと……ウルクル様が待ってくださっている菜園にと向かう。
午後のパン作りに必要な材料を収穫するのをお手伝いしていただくためだ。
「お待たせ致しました!」
『でふぅ!』
『何、そう待っておらん』
その言葉通りに、恋人のラスティさんとタバコをふかしながら待っていらっしゃった。幼女が通常スタイルだから、つい喫煙云々は前世の知識が邪魔して……危うく注意しそうになった。
そもそも、この方はフィルドさん達よりランクは下でも神様なんだから。
ウルクル様はタバコを片付けてから、私の方に飛んできてくださった。
『この時期に、トウモロコシとペポロンをかの?』
「ちょっと、変わったパンを作りたいんです。あの、ウルクル様」
『なんじゃ??』
「ウルクル様はどうして、ラスティさんを恋人……えと、旦那さんに選んだんですか?」
『んふふ。聞きたいかの?』
「馴れ初めなども是非!」
『そうさな? ひとまず、収穫をしてからにしようぞ?』
とかなんとか言っていたら、私の菜園スペースに到着していた。とうもろこしとかペポロンのスペースには何も植わっていないので、ここはウルクル様の出番。
浮いたまま、右手を開くと黄色と薄緑色のタネがすぐに出て来た。それを、空いているスペースに躊躇いもなく投げた。
『でふ?』
『ロティ、共にやらぬか?』
『いいんでふか?』
『妾がいない時もあろう。精霊として覚えんで損はない』
『あいでふ!』
なので、ロティも一緒に瞬間成長をすることになり、ウルクル様の隣に立った。
『妾の左手を握れ』
『あい』
ロティは言われた通りに、ウルクル様の左手を握った。今のロティはウルクル様より断然大きいので、お姉さんが小さな子供の手を握るように見える。
『感じるじゃろう? 魔力の流れを……その魔力を導き、種子らを成長させるのじゃ』
『……あい』
次の言葉に、ロティは空いている方の手を前に向ける。そこから紫色の光が溢れていき、蛍のような粒状の光が出てきた。
『その導き、我が手から離れ……芽吹け』
『芽吹け』
二人が短い言葉を口にした瞬間。
畝から蔓のように、草が生え出して…………あっという間に、収穫寸前のトウモロコシとペポロンが出来上がってしまいました!?
「す……すご!?」
ウルクル様もだけど、ロティも出来る様になったんだ!?
『ほっほ。妾の加護が主人に与えられているからこそ、契約精霊のロティにも可能なのじゃ。他の精霊ではこうもいかん』
と、注意点はいただきました。
『でふ! でふゅううう!!』
けど、ロティは自分も出来ることには大変喜んでいる。ウルクル様にヨシヨシと撫でていただいてから、ちょっとだけ休憩しようと草の方に座ってから。
『妾とラスティの馴れ初めじゃったか?』
と、少し昔話をしてくださることになりました。
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