172-4.言っていない事②
保護者はわかるけど、いきなり……仮でも『婚約者』ってなんで!?
「誤解がないように言うが……チャロナの身の安全を確保するためだ」
私が、わーわー騒いでいるとカイルキア様が宥めてくれるように、頭をぽんぽんと撫でてくださった。
「身の安全??」
「俺達は、お前をすぐに行方不明だった王女と断定した。通常なら城へすぐに帰還させた方が良かっただろう。だが、強固派の大半が巣食う城に行けば……他国の同盟などの材料に使われるかもしれない。伯父上がではなく、強固派の臣下達がだ」
「……えーと?」
「簡単に言えば、政略結婚の道具にされていたところだ。今も、まだ強固派でない連中で考えている輩はいるだろうが」
「それはデュファン様からお聞きしました。……でも、カイル様が婚約者となったのは?」
「王弟の息子で、従兄弟が相手なら簡単に手出しはされない。……それに、俺が望んだ事だ」
「……え?」
「お前が生まれてから……俺は、その…………伯母上に、チャロナの一番になりたいと宣言したんだ」
「…………ええ!?」
私がほとんど記憶もない赤ちゃんの時から!?
流石に、これにはびっくりする以上に嬉しい気持ちになった。
絶対、ぽんって赤くなった顔を見られたくないと俯いたら……やっぱりカイルキア様には顎クイで上に向かされてしまう。
あんなにも、滅多に笑顔だなんてなかった男性なのに、素敵過ぎる微笑みを浮かべていたから……失礼だけど、鼻血が出そうになった!?
「伯母上は俺の心を救ってくださった方だ。なら、娘であるお前の事を大事にしたいとすぐに思ったくらいだ」
「お母さんに、ですか?」
「俺もだが、リーンも髪や目は母上譲りだろう? 父上の息子などではないと、幼い頃から色々と批判されていた。それなりに……傷ついたんだ」
「……酷い」
私はともかく、カイルキア様の髪と目の色が王家の血筋を継いでいないからって迫害する意味がわからない。
だが、この国の貴族達はそれを善としなかったのだろう。
むっとしていると、カイルキア様に髪を梳かれた。
「一時期はシュラを避けてまで嘆いたものだ。だが、伯母上はそんな俺に手を差し伸べてくださった。俺は俺だと、大事な甥に変わりない、と」
「……お母さん」
まだ再会出来て一日程度だけど、お母さんがすっごくすっごく優しいのはよくわかっている。私が知らないカイルキア様との事も。
だから、お母さんがとても誇らしく思えてきた。
「……だから、お前が誕生し。婚約者候補の知らせがあった時は、真っ先に立候補したさ」
「その事もあって……今も、ですか?」
「…………お前をここに連れてきた時はな? 今は違う」
まだ顎クイ状態だったので、そのままキスされちゃいました!?
薄いけど、柔らかいキスの感覚にまだまだ慣れなくてドキドキしちゃいますぅ!!?
カイルキア様がある程度堪能されてから、彼は私をあったかい懐に抱き込んでくださった。
「……うぅ」
こんな甘々のカイルキア様だなんて、予想していなかったから嬉しくて……嬉し過ぎて頭パンクしそう。
「今のお前と接して、お前を知るようになって……伯母上以上の女性だと分かった。だから、俺にはお前が必要だ」
ぎゅっと強く抱きしめて貰える相手になれて……本当に、幸せだ!!
「嬉しいです……」
「なら……正式に婚約しないか?」
「えぇ!?」
「嫌か?」
「いきなり…………過ぎませんね」
カイルキア様の片想いは、下手すると二十年くらいだし。
リーン様とレクター先生がすぐに婚約されたから……この世界では結婚までの期間が短いのかな?
「俺としては、すぐに返事が欲しいが」
首を捻っていると、カイルキア様の顔がまた少し近づいてきた。
その美しさの迫力に……頷けない人がいるだろうか?
「お受け……します」
私が返事をすれば、カイルキア様はさっきまでセーブしてたのがわかるくらい、情熱的なキスをしてくださいました!?
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