164-4.再会の抱擁(マックス《悠花》視点)






 *・*・*(マックス《悠花ゆうか》視点)









 ……ほんと。


 ほんとーに、本当に!?


 あのフィルザスってガキの神とかに精神連れて行かれた時もびっくりしたけーどぉ!?


 なんで、チーちゃんとカイルの方も連れて行かれたと思ったら……起きたら、チーちゃんとシュラの母君である王妃様が復活してる訳ぇ!?


 聞きたい事が山盛りてんこ盛りだけどもぉおおおおおお!?


 とりあえず、あたし達はカイザーの爺様に連れられて陛下の執務室に案内されたんだけど……。



「アクシア〜〜!! チャロナぁあああ!!」



 執務室で待ってた陛下が、王妃様とチーちゃんに猛烈なハグをしながら号泣って言うのが正直言ってウザいわ!!?



「父上!? 皆の前だからってみっともないんだぞ!?」


「うるさい!! お前だって玉座の間ではアクシアに抱きついたじゃないか!!?」


「それはそうだけど!? チャロナが苦しそうなんだぞ!!?」


「む!?」


「……ぐ、ぐるし……!?」



 チーちゃんが限界値突破になりそうだったから、あたしが無理矢理陛下からペイッと引き剥がしたわ。



「…………すまない」



 陛下はちょっとだけ反省しているようだけど……まあ、無理ないもの?


 今まで親子だって名乗れなかったチーちゃんもだけど、最愛の王妃様までも復活よ?


 喜ばないわけがないわ!!?



「とりあえず、ひとつ我が妹に聞きたいんだが」



 陛下がしゅんとなっている間に、シュラが話を切り出した。


 チーちゃんはあたしが起こしてやってから、きちんとシュラに向き直ったわ。



「はい?」


「君の名前は『マンシェリー』のはずなのに、何故か守護名の『チャロナ』を優先的に呼ぶように俺達はなっているんだい?」


「あ、それは」


「この子が……今までの生き方で得たものを否定したくなかっらからだそうよ?」


「そうなのかい、母上?」


「ええ」



 王妃様がきちんと言ってくれたことには頷けたわ。


 つまり、チーちゃんは……フィルド達に連れて行かれたとこで、自分の本当の名前じゃなくて『チャロナ』を選んだ。だから、今は『マンシェリー』がミドルネームになる守護名ってことか。



「……なるほど。であれば、俺達がすぐに呼べたのも……そのせいか」


「お父さん、ごめんなさい」


「いや、いい。お前が選んだ事だ。俺は受け入れる」


「俺もなんだぞ!」



 とりあえず、名前についてはこれで納得ってとこね?


 だけど、あたしは……この場でチーちゃんに前世での死因やあたし達の関係性を話していいか悩んだ。こんな感動の再会真っ只中で話す事じゃないだろうし……けど、いつかは話さなくちゃなんない。


 でも、この後は。



「この後は、チャロナの生誕祭を身内だけで行う予定だ! 先にお父さんからプレゼントを渡させてくれ!!」


「いいんですか!?」


「チャロナ、お父さんなんだから敬語はいいんだぞ?」


「いきなりは……ちょっと」


「お兄ちゃんも外して欲しいんだぞ!!」


「……もっと無理です」


「なんで!?」



 改めて、チーちゃんの誕生日パーティー開催だから……やっぱり後ね?


 けど、今日からチーちゃんはここか屋敷……どっちでも過ごすことになるのかしら?


 そこんとこ、全然決めてないのよね……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る