162-2.緑の球体






 *・*・*









 シアちゃんが神様。


 実は、フィルドさんやユリアさんまで神様だったと言う真実。


 その事について、私は頭に入る情報が混乱し出して何が何だかわからなくなってしまったのだ!?



「☆@♡♪&#%¥$!!?」



 隣にカイルキア様がいらっしゃるのに、絶対絶対変な顔になっていると思う。


 シアちゃんも、ケラケラ笑っているくらいだし。



「アッハハ!? チャロナ面白ーい!!」


「え、いや、だ……っ、え、え!?」


「見てて面白いけど、チャロナ? ここに連れてきたのにはちゃんと意味があるのよ?」


「い……み?」


「そうそう、あれあれ」



 シアちゃんがフィルドさん達の方に指を向けると、二人の後ろに緑色の大きな何かが見えた。


 なんだろうと思っていると、フィルドさん達が避けてくれたんだけど!?



「ロティ!?」



 向かって右の方の大きな球体の中に、ロティが入っていたのだ。


 私が呼んでも、声はこちらに届かないのかきゃっきゃといつものようにはしゃいでいるだけ。


 けど、ロティは私の影の中に待機しているはずなのに、なんであんなところに??


 すると、シアちゃんが私の側に近づいて、影があるような箇所で足を軽く踏んだ。



「出ておいで、出ておいで?」



 何かの呪文? と思っていると、目を閉じているロティが出てきて……球体に閉じ込められているロティに向かって行った。


 待って、と手を伸ばすのは間に合わず、こっちにいたロティは球体に触れると中に吸い込まれてしまう。


 そして、中にいた方のロティに触れると……そっちのロティに吸い込まれてから球体がどんどん大きくなっていった。


 左の、もうひとつの球体のように。



「……わ、たし……?」



 と思ったけど、よく見たら違う。


 もっと背丈があるし、顔も大人っぽい。


 目は閉じていて何色かはわかんないけど、綺麗なドレスを身につけている彼女は、『ザ・大人版』と言えるくらい私に似ていた。


 だけど、どこか懐かしさを感じたのだ。


 彼女は、誰?



「伯母上!?」



 カイルキア様が叫んだ。


 つまりは、私じゃない。だけど、さっき私に素性を明かしてくださったことから、彼女の正体はわかったのだ。



「お……かあ、さん……?」



 この世界での、私の産みの親。


 その人が、どうして……神様達の手であんなところに閉じ込められているのだろうか?



【完了致しました】



 お母さんに釘付けになっていると、まだ変化していたロティの球体から機械音のようなアナウンスが聞こえてきた。


 そっちを向くと、ロティの姿にも大きな変化が起きていた。


 子供どころか、私とほとんど変わらない大きさの大人の姿に。


 それに、波打つ髪の毛や服装を除けば……私やお母さんとそっくりになってしまったのだ!?



【同調完了。『幸福の錬金術ハッピー・クッキング』で得られたPT並びに、レベルを共有しました。選択権の幅が広がり、禁術にも影響を与えられています】



 天の声、とは違う。


 ロティの元の声とも違うし、私と似た声でもない。


 だけど、言っている意味がよくわからなかった。



「さ、チャロナ? あなたは選べられるのよ?」



 シアちゃんが座り込んだままの私の肩に手を添えると、にっこりと笑ったのだ。



「えら……べる?」


「そうよ? ばぁばがあなたに与えた異能ギフトには意味があったの。……この世界での、人間達が起こした厄災の終焉。それと、あなたの今の家族について」


「厄災?」


「【枯渇の悪食】を、なかった事に出来るのよ?」


「「え!?」」



 思わず、カイルキア様と同時に声を上げてしまった。

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