159-4.待ち侘びた(アインズバック視点)






 *・*・*(アインズバック視点)








 いよいよ明日だ……。


 マンシェリーが、この城に帰って来る。



「ようやく……親だと名乗れる……!」



 つい先日の誕生会では我慢したが、やっと明日には父親だと名乗ることが出来る!!


 約二ヶ月……我慢に我慢を重ねてきたが、明日に全て解決……と言うわけにはいかない。


 強固派の問題だ。


 わざと今はおよがせているが、例の男爵については色々調べておいた。シュライゼン程ではないが、転移の魔法も使えることも。


 それについては、対策を既に取り行っているところだ。



「……いよいよ、明日にございますな。陛下」



 最後の執務の追い込みをしていると、カイザークが茶を持ってきてくれた。


 ひと口飲むと、爽やかな飲み口が体を落ち着かせてくれるような気がした。



「ああ……いよいよだ。マンシェリーが戻ってくるんだぞ!?」



 いきなり、親子もだがこの国の王だと知れば、あの子はかちんこちんになってしまうだろう。


 だが、ギフラの奥方でもあるメイミーから行儀作法も受けているから、心配は多少でいいはず。


 何が起こるか、あの子には知らせていないのだから……下手をすると自分が殺されるかもしれない危機を認知させてはいけない。今のあの子は態度に出やすいからだ。



「対策については抜かりなく。陛下の仰るとおりに、宮廷魔法師並びに魔導師達には護衛につけるように手配しました」


「阿呆な強固派連中も釣れるに釣れた……。あとは、当日の俺の采配とマンシェリーから渡されるサンドイッチ。…………食べさせてもらえるが、よだれが出そうだな?」


「我慢なさってください……」


「ああ」



 それともうひとつ危惧せねばいけないのは……最高神の計らいだ。


 いつ、どの瞬間で介入して来られるかはわからない。


 できれば……と俺が思う時にして欲しいものだが、それは贅沢など言えないな?


 とにかく、明日にはマンシェリーもだが国のこれからのことも変わってしまう。


 気を引き締めて、挑まねばいけない。



【……なら、儂らも力を貸そうぞ?】


「む?」


「今のは……」



 カイザークにも聞こえていたようだ。


 記憶を書き換えられてはいない。であれば、最高神からの助言は本当だと言うこと。


 神からの助力を得られるのであれば、百人力以上の援助だ。


 カイザークと顔を合わせて、俺達は頷き合った。



「よし、仕上げだ! 残りの書簡も持って来い!!」


「はっ」



 明日は式典にかかりっぱなしなのと、マンシェリーの今後も変わってくる。


 だから、終わらせられる仕事は終わらせるに限るのだ!!

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