153-1.抹茶のデニッシュパン①






 *・*・*











 子供達への差し入れ会が、ひとまず区切りを迎え。


 私はあと一週間程度しかないが、式典までにマナーの教育などをメイミーさん達に教えていただきながら。


 隙間時間に、おやつのパンやお菓子を仕込むことで気分転換になるので。


 今日はデニッシュでも、『食パン』に挑戦してみようと思います!



「以前、シュライゼン様がホムラよりいただいた抹茶を主体としたデニッシュパンを作ります!!」


『「「マッチャで??」」』


『でふぅうううう!!』



 一度、揚げパンで抹茶シュガーで試したけど、美味しかった。だから、きっと混ぜ込んでも合うと思う。


 まずは、バター以外の生地をこねていくんだけど。


 揚げパンの時もそうだったが、濃い緑色の生地になるので皆さん最初は引いちゃった……。



「『すご……!?』」


「これが……パンに??」


「焼き上がるともう少し薄くなると思うんですが。上質な抹茶なので、濃いかもしれないですね?」


『甘く……するでやんすよね?』


「するする。デニッシュだから、バターたっぷりで甘いよ? あと、これも入れるから」



 収納棚から取り出したのは、試作していた甘納豆。小豆やインゲン豆があるし、私は前世で好きで作ったりしてたから、作ってみたのだ。


 シェトラスさん達にも試食していただくと、『おお!』と目が丸くなった。



「これは……砂糖を直接まぶしてあるからか。豆は柔らかいのに、あんことも違うね? とても甘くて、病みつきになりそうだ」


『これを混ぜるんでやんすか?』


「うん。どう?」


『いいと思うでやんす!』


「私もそう思う!」



 さて、生地作りの続きだ。


 折り込みじゃないバターを加えてから、一次発酵。


 バットにバターを塗って、四角く伸ばしたらロティの瞬間解凍で十分くらいの状態に冷やす。


 折り込み用のバターを伸ばして。生地をバターよりも大きめに広げたら折り込んで、また伸ばして。


 他のデニッシュ生地同様に折り込んでは冷やして休ませるを繰り返していったら。



「大きめに伸ばしたら、甘納豆をたっぷり敷いてくるくる巻いて」



 片側をだいたい2cm残しで、縦半分に切ったらねじねじ。


 薄くバターを塗った型に入れて、今度は二次発酵。


 その後に焼いたら、甘い甘いバターの香りが厨房に広がっていく。


 と言うことは?



「「「いい匂い〜〜!!」」」




 以前と同様に三馬鹿? トリオの三人がカウンターから顔を出していたのでした。



「チャロナ〜? 今日はパイー? クロワッサンー?」


「ううん。ちょっと変わったデニッシュパン。デニッシュって言うのは、パイ生地みたいなので作ったパンのことだよ?」


「あんまいパンなん?」


「間に餡子じゃないけど、甘い豆があるよ?」


「「「おおお!?」」」



 だけど、出来上がった抹茶デニッシュパンを出したら。


 三人とも、めちゃくちゃ引いてしまったのだった。

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