149-5.迷うな(イシュー視点)






 *・*・*(イシュー視点)








 結局、あの女のところへ刺客を放っても……王女殿下のところと同じ結果になってしまった。


 放っても放っても、戻って来ないなどと、実質無駄足続きだ。



「く……っそ!?」



 何故だ。


 何故、思い通りにいかない?


 僕が思い通りにならなかったのは、アーネスト様への弟子志願だけだったのに。


 強固派となって数年……今が一番思い通りにいかない!!


 アーネスト様の弟子は僕だけでいいはずなのに!?


 あの女と王女殿下が何故始末出来ない?



「こうなったら……直接……いや」



 あと数日で、王女殿下の式典が催される。


 どう言う式典かどうか、陛下からは臣下に通達されていないが。大臣方の中で、唯一強固派でいらっしゃる方にお聞きしてもわからないそうだ。


 大方、行方知れずだった姫の帰還を祝う程度だと、僕は思っていた。


 だが、チャンスだ。


 大罪と言われても、王女殿下を亡き者にする機会があるのだ。


 金の無駄遣いをやめて、むしろそこに集中すべきか。


 いっそ、僕が手にかけるか?


 出来るか?


 僕が。



「……やるしかない」



 たった一人のアーネスト様の弟子になるためにも。


 僕はもう迷わなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る