147-5.チョコクロワッサン④(マックス《悠花》視点)






 *・*・*(マックス《悠花ゆうか》視点)










 い〜い、匂い〜!!


 バターたっぷりと、チョコの焼ける匂い〜〜!!


 チーちゃんに事前に聞いていたけ〜ど!!



「今日はチョコクロワッサンぅうう!!」



 チョコを練り込んでいるやつかしらん?


 チョコを芯にしてくるくる巻いたやつかしらん??


 どっちにしても美味しいに決まってるわ〜!!


 この世界のデニッシュって、パイくらいしかないけど……ぜーんぜん美味しくないのよねぇ?


 けど、チーちゃんのだったら。絶対絶対ぜぇーったい、美味しいに決まってるわ〜〜!!



「……マックスか」


「お、カイル?」



 食堂の扉を開けようとしたら、カイルとばったり会ったわ〜ん?



「……やけに上機嫌だな?」


「あったり前だろ? チーちゃんのクロワッサンだぜ?」


「クロワッサン?」


「聞いてねーの?」


「……今朝は話してなかったからな」



 まあ、毎回毎回、チーちゃんと話せるわけじゃないものね〜?


 あたしは、魔法訓練とかで接点は多いけどぉ。



(好きな子に、好きを伝えられないのが歯がゆいものねぇ〜?)



 あれ以来、マジで来ないでいる最高神フィルド達からの妨害はほとんどないけど。


 あと一週間ちょいで、チーちゃんが王女に戻る日も近い。その日を境に、ここでの生活もどうなるかわかんないわ〜。



「とりあえず行こうぜ? このいい匂いがそのクロワッサンだ」


「……バターとチョコレートの匂いがすごいな?」


「幸せな匂いだろ〜?」


「幸せ?」


「俺とチーちゃんの前世での食事だと、バターは幸せのフレーバーだったんだ」


「ほう?」



 ポテチとか色々あったわねー?


 さすがに、チーちゃんにそこまで再現出来るかわかんないけど。けど、そうね?


 ポテチくらいなら、あたしにも出来るかもしれないわん?


 ウルクル様の加護で豊作し放題のジャガイモを、お裾分けしてもらおうかしらん?


 それはいいとして、クロワッサンよん!


 中に入って、カウンターに声をかけたわ。



「チーちゃぁん! 俺とカイルのおやつ頼む!」


「はーい! ちょうど焼きたてのが出来ました!」


「おー!」



 出てきたクロワッサンは。


 少し中くらいの大きさで、チョコは芯になっている状態。焼き色は最高に美味しそうで、すぐにかぶりつきたくなる感じだったわ!



「これが……クロワッサン?」


「はい、カイル様。パイ生地に似ているので、崩れやすいのが問題ですが」


「食おうぜ、カイル!」


「ああ」



 カイルの専用テーブルに一緒に座って、チーちゃんにもらった甘い甘〜いカフェオレを一緒に。


 まずは、クロワッサンを一口。



「「んん!?」」



 たしかに、パイ生地だから崩れやすいけど。しっかりと存在感があるわ。


 外のサクサクはもちろん、中はふんわりしていて、バターの味が濃厚。けどしょっぱくはなくて、むしろ甘い!!


 甘さも優しくて、芯になっているチョコの溶けた部分との調和がナイス過ぎるわ!!


 ここに、甘いカフェオレを組み合わせたら!



(し・こ・う!!)



 クロワッサンの表面も、砂糖を混ぜたキャラメルで食感が楽しいし、パーフェクトだわ!!


 ひょいぱく、の勢いで食べてたらあっという間になくなって。


 これはおかわり! と席を立ったら、先に食べ終えてたカイルがカウンターにかじりついてたわ。



「……おかわりはダメか」


「すみません、仕込みが大変なので」



 あら、今日のおやつはおかわり無しなのね?


 まあ確かに。


 クロワッサンはシンプルに見えて、結構手間がかかりそうなイメージだものね?


 いくらチーちゃんでも、大変そうだわ。


 だもんで、おかわりに駄々をこねてたカイルの首根っこを掴んで、食堂から出たわ。



「ガキか、お前は!?」


「……だが、あれは。あのパンは!」


「明日も似たようなもん作ってくれるだろ!?」



 そう、明日は。


 ミートパイを作ってくれるんですって!!


 おかわりは難しいけど、食べ応えのあるデニッシュパン。


 チーちゃんは本当に、パン作りはピカイチねえ?

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