136-2.お祝いのエンガディナー②

 次に、卵黄を加えて泡立て器でよく混ぜたら、ふるっておいた薄力粉を入れる。



「ヘラで切るように混ぜて、粉っぽさがなくなるまで混ぜます」


『ご主人様ぁ〜、クルミ出来ちゃでふぅ!!』


「ありがとう、ロティ」


『でふぅ!』



 クルミは生地が出来るまでは自然乾燥。


 エイマーさんと二人で、しっかりしっかりと生地を混ぜて。出来上がったら、6対4の比率で分けておく。


 これをラップで包んで、冷蔵庫で一時間以上寝かせるのが普通だけど。



「【時間短縮クイック】!!」



 技能スキルを使えばあら不思議?


 しっとりな生地の出来上がりだ。



「これを伸ばして、型にくっつけるのかい?」


「はい! まずは下の面を作りましょう!」



 出来るだけ均一に、だいたい直径が24cmの大きさに。厚みは4mm以上。出来上がったら、型に空気が入らないようにぴったりと貼り付けて。


 次に蓋の部分。


 厚みは同じで、直径が18cmくらい。やや小さくて大丈夫なのだ。



「ふむ。蓋を作って、間に中身を。なるほど……けど、先に生地作りで良かったのかい?」


「今からこれはラップに包んで、冷蔵庫に入れます。その間にフィリングを作るんです」


「了解したよ」



 まずは、二個分のキャラメルの材料を、バター以外全部鍋に入れる。



 砂糖


 水飴(探したらあった)


 蜂蜜


 牛乳


 生クリーム



 これらを鍋でぶくぶくに煮立つまで火にかける。銀製器具シルバーアイテムから温度計を取り出して、117℃になったら火を止めて。



「すぐにバターとクルミを入れちゃいます! バターが溶けやすくなるからです!」


「本当だ。……すぐに溶けるね?」



 混ざり切って、弱めの冷却コールドで粗熱を取り。冷やしておいた型の中にフィリングを分けて入れて。



「エイマーさん、コーヒーをお願い出来ますか?」


「休憩用だね? 淹れてく」


「違います。このお菓子に必要なんです」


「……どういうことだい?」


「仕上げにコーヒーと卵黄を塗るんです。パンのドリュールと同じ意味ですね?」


『でふぅ!』


「……ほう?」



 小さい生地で蓋をして、麺棒で軽くならして余分な生地を取り除く。生地は余ってそのまま焼くと美味しいお菓子になるので、ざっくり切り分けたら厨房の窯で焼いちゃいます。タイマーも忘れずに。



「本当はインスタントコーヒーの方がいいんですが。ないので、少量ずつ卵黄に溶かしいれます」



 刷毛で表面全体に塗っていき。出来たら、フォークで格子柄になるように化粧して。目立ちにくい箇所に穴を開けて。



『予熱完了でふぅうう!!』



 そして、ロティの天火機オーブンに入れて焼くと、普通なら40分以上かかるのを。



「重ねがけ、短縮化ショートニング!!」


『最大短縮ぅううううう!!』



 焼き時間もあっという間。


 型から取り出したら、これも普通なら粗熱から乾燥まで一日かかるのをさらに短縮化。



「素晴らしく、美しいね!!」



 卵黄だけだと薄い茶色になるのが。コーヒーを入れたので、少し濃い焦茶色になり。綺麗なエンガディナーが出来上がったのでした。

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