135-1.宮廷錬金術師の決断(アーネスト視点)
*・*・*(アーネスト視点)
構造の詳細もお聞きした。
どのように稼働するのかもお聞きした。
他の仔細についてもお聞きした。
な・の・に、だ!?
「くぅうううううう……出来ん!!?」
セルディアス王家古株の錬金術師、アーネスト=ラピュンツェルの腕を持ってしても!!
それを、王太子殿下の命により、世に出せるように儂に依頼なさってくださった。
だから、口外せずにと言うお約束の元、王女殿下と接触してロティと名乗った契約精霊が変身した魔導具を見せていただいたのだ。
パンの技術は、儂が生まれる二百年前に潰えて、それでも人間達を中心に技術を取り戻そうと努力はしたものの。
王女殿下の技術は、それまでの努力が無駄に等しいくらい凌駕していた。彼女の前世の世界で培った技術とは言え、素晴らし過ぎたのだ。
「パンも改めて、最高傑作だと理解した儂ですら。すぐに出来ぬとは……!!」
悔しい!
だが、同時に面白いとも思っている。
ハーフエルフとしては中年の儂でも、折り返し地点ではある。若かりし青年……いや、もっと若い少年のような闘争心が湧き上がって来るのだ!!
「一からスタート。赤児同然とも思わなくてはいかん! 稀代の錬金術師がなんじゃ!! 儂もまだまだ挑戦者に変わらん!!」
カレリアが身重でなければ手伝わせたのに、今は一人じゃ。あれ以上の才能の持ち主は……あれから聞いていたが王女殿下もだった。
たしかに、錬金術と料理は密接した関係であることに変わりない。が、なんでカレリアは料理が壊滅的に素人以下なのか、師としてはずっと疑問に思っていたがの?
「うむむ。しかし、それ
タイマー、と言う計測の魔導具以上に
王女殿下は、下手したら儂以上の錬金術師やもしれん。
だが、誇示するどころか謙遜しがちなあの性格。必要であれば、儂の二番目の弟子と言うことで受け入れれば。
「……その方が。ただの王女殿下に戻られるよりも、ずっといいじゃろ」
生半可な才能程度じゃ儂の心の琴線には触れれないが、あの王女殿下は別格。
カレリアからも魔法鳥で確認を取ったが、ポーション作りも覚醒以前とは違い、彼奴と変わりない才能の持ち主だそうだ。なら、なんら問題はない。
「弟子の育成と銘打てば、訪問の理由で公爵家に行くのも不審がられない」
代わりに、カレリア以来の弟子誕生とか噂になるだろうが。仔細を言わねば、あとは適当にどうとにでもなる。強固派がだいぶ処罰されたから、多少儂くらいのハーフエルフが騒いだとて大丈夫だろうて。
なので、これ幸いにと、王太子殿下と陛下に報告しようと思ったのだが。
「……ふむ。姫様を弟子に?」
「そうじゃ。殿下が魔法であれば、王女殿下は錬金術。儂はあの方の宮廷内での後見人になるのは問題ないと思っておる」
王女殿下の式典準備に忙しく動いていらっしゃるようで、捕まったのは宰相だった。
儂に比べれば若造だが、儂よりも老いた身と経験故か頭は上がらないが。
「……そうですね。式典後、姫様がどのようにセルディアスでお過ごしになられるかは分かりませんが。貴方のお弟子になられれば、まだくすぶっている強固派や反対派などを言いくるめれるでしょう。証明書を発行しますか?」
「陛下方も同意されれば、すぐにでもお願いしたい」
「承知しました」
儂の名と才能は友好国や他国でも知れ渡っているからの?
ホムラ皇国にも、訪問される予定があるのなら使える札はあの方に渡したかったからだ。
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