117-1.同世代でおやつ決め






 *・*・*









 フランスパンも無事に成功して、コッペパン作りがメインのパン教室も終わり。


 ただ、当然フランスパン……バケットが大量に貯蔵庫に余っているので、何かに加工しなくてはいけない。


 なら、と。私はある人達を召集することにした。



「「「固いパンの加工??」」」


「……なの?」


「うん! 皆に聞きたいと思って!」



 悠花ゆうかさんやカイルキア様に聞くのももちろん大事だが。身体を張って頑張ってる使用人仲間の皆にもリクエストを聞いておきたい。


 とりあえず呼んだのが、エピアちゃん、サイラ君。シャミー君にピデット君。同世代組集合と言うわけです。



「一度、このパンを食べてみて?」



 炙りスコーチで温めたバケットのスライスをお皿に載せてあるのを出せば、皆目を丸くした。



「なんやこのパン? 穴もぎょーさん空いてるし、スッカスカやで?」


「けど、チャロナのパンはどれも美味いじゃん? 見た目はなんだけど、食ってみよーぜ?」


「そーそー」



 とにかく食べてみようと言うことになり、四人とも手にとってひと口頬張る。



「「「んん!?」」」


「ちょっと、固いけど。中は少しふわふわしてる。塩気が強いけど、ほのかに甘い。皮の部分がパリパリしてて楽しい」


「チャロナ! これなんてパン!?」


「ふふふ。フランスパンのバケットって言うの」


「「「「フランスパン??」」」」


「こう言う固いパンの種類と思ってて。で、温めないと結構固いこれを、おやつとかにどう作り直そうか決めて欲しいの」


「お安い御用やで!」



 明日はお休みしなくてはいけないが、おやつは習慣付いてしまったので何かしら用意しなくてはいけない。


 シェトラスさん達も簡単に出来るレシピにするので、あとは皆に選んでもらうだけだ。



「ひとつは、フレンチトースト」


「「「「これで出来るの!?」」」」


「前日に仕込まなきゃいけないけどね?」


「ほうほう。手間暇かけて作るもんか?」



 食パンは流通しているので、庶民でもフレンチトーストは知れ渡っている。が、水分量が多いバケットでも乾燥させると、卵液が染みにくいので一晩かけて浸透させなくてはいけないのだ。



「もうひとつは、ニンニクとバター。あと、チーズを使った」


「チーズのおやつ!?」


「お、落ち着け、エピア!?」


「だって、サイラ君! チーズだよ!」



 チーズの単語を出すと、興奮するなとは予想してたけど。エピアちゃんはやっぱり、目をキラッキラさせてしまってた。



「……エピアのチーズ好きは、可愛いけどなあ?」


「可愛いけど。恥ずかしがり屋が一気に爆発する勢いやんな。ありゃ、止められん」


「なー?」



 外野は既に、思考を放棄した模様。


 けど、サイラ君は諦めていないのか。果敢に自分の彼女に提案していた。



「チーズもいいけどよ? ちょっとここ最近チーズ関連多いだろ? 悪くはねーけど、たまにはフレンチトースト食いたい!」


「む。チーズの偉大さがさらに深まるんだよ?」


「わからなくもないけど。明日はチャロナも休みだろ? なら、まだ料理長やエイ姉でも作れそうな方がよくないか?」


「う」



 と言うわけで、フレンチトーストの逆転勝利となったわけである。ガーリックのチーズトーストもまた作ってあげるからと、エピアちゃんには約束して私は厨房に戻った。



「「ほー? サイラがエピアを説得して?」」


『じゃ、フレンチトーストでいくでやんすか?』


「そうそう。下準備はお手伝いします」


「「ご教授願うよ?」」


『でっふ!』



 作り方は至ってシンプルに。


 牛乳と卵をよく混ぜた液体に、バットに並べてある輪切りにしたバケットに浸す。


 これを、銀製器具シルバーアイテムのラップでぴっちり覆って、冷蔵庫で一晩寝かすだけ。



「風味と香り付けに、バニラビーンズを入れるのもありですが、今回は省略しました」


「なら、好評だったら次回に作ろうか?」


「ですね!」



 焼き方にトッピングも教えたので、明日がすっごく楽しみだ!

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