116-2.揚げたてコッペパン②(シュライゼン視点)
*・*・*(シュライゼン視点)
うむ、うむうむ!
我が妹が手がける料理は、相変わらずとても美味しすぎるんだぞ!
以前のあんどーなつもだけど。カレーパンでも思ったけど、わざわざパンを揚げてしまうだけでこんなにも美味しくなるだなんて!
あれも美味しいけど、今回の揚げパンもめちゃくちゃ美味しいんだぞ!
お兄ちゃん、ますます妹の料理のファンになるんだぞ!
(……しかしながら、エリザベート殿も凄いんだぞ)
さすがは、母上や叔母上に教授した
マンシェリーに注意はされていたが、それでも練習の回数が多い俺と爺や以上の腕前。
今も、一緒に揚げパンを揚げているが、マンシェリーのやり方を見ただけでもう様になっているんだぞ。さすがは稀代の女性料理人と言うべきか。
「チャロナさん、少し思うのだけれど」
「はい、なんでしょう?」
ああ、二人が並ぶ姿は、まるで遠い昔のエリザベート殿と母上に見えるんだぞ。けど、自分の姪とそっくりのその娘に対してでも、彼女は涙を流すことなく耐えた。
やはり、成人の儀や生誕祭を迎えるまでは、マンシェリーには俺達の関係を打ち明けられない。そうしないと、おそらく最高神がすべての記憶を封じるからだ。
結局、カイルとのデートでも記憶を封じられたらしいからね?
「この揚げパンにだけれど。例えば、ベリーを乾燥させて粉末状にしたのも合うんじゃないかしら?」
「その方法も、エリザ様の異能には刻まれているんですか!?」
「ええ。ヨーグルトに混ぜると美味しいから。で、どうかしら?」
「出来ます! 実は揚げパンの味付け……フレーバーと言うんですが。色々あるんです!」
「まあ」
エリザベート殿と随分仲が深まってきたようだ。
異能持ち同士もあるが、マンシェリーの負担がなく、前世の会話が出来ているお陰もあるだろう。マンシェリーも生き生きとしているし、やはり今日一緒にパン作りが出来て良かったと思う。
とりあえず、そのベリーの粉末づくりはエリザベート殿が担当することになった。
「チャロナ〜、他にはどんな味付けがあるんだい?」
で、俺もちゃっかりマンシェリー達の会話に加わったとも!
「そうですね? ホムラにはありませんでしたが、緑色のお茶がありまして。それを砂糖と混ぜ合わせた『抹茶』というのも、少し苦味があって美味しいですよ? コーヒーも可能ではあるのですが、加工が流石に私でも難しくて」
「ほうほう、マッチャ?」
「私と
「ほほーう!」
味の想像がつかないけど、なんだか美味しそうなんだぞ!
一度、ホムラのアシュリンに問い合わせてもいいかもしれない。庶民には無理でも、皇族なら嗜んでいるかもしれないからね!
とりあえず、揚げパンの分のコッペパンを揚げ終わってから。次にサンドイッチ用のコッペパンに切り込みを入れることになった。フレーバーと言う粉や砂糖をつける作業は、マンシェリーに教わったレイが担当したんだぞ!
「波刃の包丁で、ゆっくりと真ん中から切り込みを入れまして」
全部は切らずに、少しだけ繋げる部分を残すんだそうだ。それから、マンシェリーはポテトサラダと言うものとカレーペーストと言うものを内側の片面ずつに塗って。
切り分けたものを、また皆で試食したんだぞ!
「「『「「「!?」」」』」」
美味しい。
カレーと、マヨネーズの組み合わせがこんなにも合うだなんて!
少し大丈夫か心配だったんだけど、この組み合わせは有りなんだぞ!
なんだったら、コッペパンひとつ分くらい食べたいんだぞ!
「カレー……と言うのは、あまり辛くないのね?」
「えっと……カイル様向きに、ですが」
「ああ、そうね。あの子はフィーガス殿のせいで、辛いのは本当にダメになってしまったから」
「けど、十分美味しいんだぞ!」
他にも、卵をマヨネーズで和えたものも合うらしい。ちょっと味見したかったんだが、我慢……我慢だぞ!
それに、俺が担当した牛乳パンのクリームも最高に合うらしい。出来上がりが楽しみなんだぞ!
とにかく、マンシェリーに教わりながら、色々サンドイッチにしていく。これは、楽しいんだぞ!
「お疲れ様でした!」
出来上がったコッペパンサンドに揚げパンは、本当に多種多様に仕上がり。
カイルやマックス、レクターを呼んでからお茶会も兼ねておやつにするらしいんだぞ!
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