112-4.マジックアイテム
*・*・*
口直しに出したアイスも、シアちゃんを筆頭に非常に喜んでもらえて嬉しかった。
お土産には、今回豆乳をいただいたけど。見た目だけだと普通の水筒。けど、これまでの量を考えるともしかしたらマジックアイテムの
「あの、フィルドさん」
「んー? なーに?」
「今日いただいた豆乳の水筒なんですけど」
「うん?」
「もしかしなくても、マジックアイテムじゃ」
「あ、うん。そうだよ?」
そうだよって、あっけらかんに言い放ちますけど!?
「い、いいんですか? あんな貴重なアイテムを私なんかに!?」
「んー? レイの友達だし、君なら不当な扱いしないってわかってるからあげるんだよ?」
「あ……りがとう、ございます」
なんでそんな自信満々に言うんだろう。正直、嬉しいけども。
「ふふ、あなたの料理で伝わってくるのよ。ああ、この人になら譲っても構わないわって」
「ユリアさん……」
なんで、この人達もだけど。あのパーティーを抜けた後に出会った人達は皆私に優しいのだろう。
思わず涙ぐんでしまったが、気づいたエイマーさんからハンカチを受け取って丁寧に拭った。
「ね? 君ならいろんな料理の使い道を知ってるだろうって思えるからさ? 豆乳だと俺達は味付けして飲むくらいだけど、君ならどうする?」
「え、えーと」
前世の記憶を頼らないとなので、少し思い出すことにした。
「スープに鍋料理。麺料理のスープにしたり、お菓子だと手間はかかりますが。クリームにして使ったり、あとプリン」
「「「プリン!?」」」
「あ」
しまった、プリンは完璧異世界料理なのに!? と焦っだけど。三人の反応は意外なことに、知っているように目を輝かせていたのだった。
「ねーね、ねーね! プリン作れりゅの!?」
「シアちゃん……食べたことあるの?」
「にーにが作ってくれた!」
「あ、まあ……」
そう言えば、アイスも知っているのだからプリンも知ってて……あれ?
何か引っかかった気がするが、ひとまず置いておくことにした。
「じゃあ……次回は豆乳プリンでプリンアラモードと言うお菓子を作りますね?」
「わーい!」
「ふふ。なら、またとびっきりのお土産を用意しておくわ」
「ありがとうございます」
「今日はもうデザートもいただいたし。シア? あなた? 今から作ると言うのは無しよ?」
「「……あい」」
どうやら、材料はあるから作りたいつもりでいたのだろう。フィルドさんとシアちゃんの上に暗雲が浮かんでいるように見えた気がした。
「それと、今日のカレーなのだけど。あまり辛くなかったのね? この国向けなら、結構辛いのが主流なのに」
「えと……お屋敷の旦那様は辛いのが苦手だそうで。それで、あまり辛味の少ないカレーを作ってみたんです」
「そう。シアはほら、あの年齢だから気にかけてはいたけど。大丈夫だったからほっと出来たわ。作り方は……難しいのかしら?」
「カレーのスパイスが少し。調合の
「……そう。出来れば、次回に私やフィルドに教えてもらえないかしら?」
「ユリアさん?」
「……私も気に入ったし、夫達も多分頻繁に食べたいと言うはずだわ。ダメかしら?」
「…………どうでしょう? シェトラスさん」
「私は別段構わないと思っているよ?」
「ありがとう……」
と言うことで、さらに料理教室の予定が組み込まれ、時期も次回の定例会の後に決まったのだった。
「ちゃーのねーね! またねー!」
「またねー?」
お見送りの時に、シアちゃんに力いっぱい手を振られた後。三人はいつものように、転移で帰られてしまった。
「んー! 大忙しだ!」
「私も協力は惜しまないよ? 二日後にはシュラ様達かな?」
「そうですね!」
そしてこの晩。
急にエリザベート様から、シュライゼン様達と一緒にパン作りをしたいとのお手紙が私のもとに届いたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます