110-5.起きない(マックス《悠花》視点)
*・*・*(マックス《
目の前の光景が信じられなかった。
「どーゆー事よぉおおおおん!?」
自分達で作ったカレーを食べ終えてから、もうそこそこ経つのに。いつまで経ってもチーちゃんもだが、ロティちゃんも意識が戻らないでいた。二人とも目を開いたまんま!
「ちょっと、チーちゃん!? ロティちゃぁん!?」
意識のない二人の肩を強く揺すっても、一向に目が覚めない。レイは最初ものっ凄い勢いでロティちゃんを揺すっても起きないから今はレクターを呼びに行っているけど、まだ戻ってこない。
でも、今回のトリップ状態みたいなの……長い、長いわ!
もう食べ終えてから十分くらい経っているのに、チーちゃんもロティちゃんも起きやしない。
「フィルドは……最高神は二人に何をさせたいの?」
とりあえず、いつ起きてもいいようにベッドに二人を移動させはしたけど、やっぱり起きない。
仕方ないので、レクターが来るまでベッドの脇で待ってはいたんだが。扉が開いた時、入ってきたのはレクターだけじゃなかった。
「また姫の目が覚めないだと!?」
「ちょっ、落ち着いてカイル!?」
「落ち着けられるか!」
余計にややこしくなりそうな奴が来たわねぇ?
まあ、レクターとセットでついてくる予感はしてたけど。
「起きねーからって静かにしろよ?」
「マックス、事情を詳しく話せ……」
「あ? レイは?」
「……ロティのことで泣き叫んでいたから、置いてきた」
「……あっそ」
光景が目に浮かぶわ。すると、ぐずぐずぐでぐでのレイが戻ってきたけど。
『マスターぁ! ロティ……ロティはぁ!?』
「まだだ。チーちゃんの方も」
『ぐす。……普通に飯食ってただけなのにぃ!』
「俺も知りたいわ!?」
とりあえず、今はレクターが診察しているけど。前回のように身体に問題はないようだった。
「状態異常とかじゃないよ。身体面だけで言うなら眠っているだけだね? 目をつむらないのはちょっと変だけど」
「では、このまま」
「うん、待つしかないね? 神の御業じゃ、僕らが対抗出来るわけじゃないし……」
「やっぱか……?」
「…………」
何も出来ない自分達に、カイルは血が出そうなくらい拳を握っていた。すぐにレクターに叱られたが、その心境は分からなくもないので、あたしも奴に軽く小突いたわ。
「とにかく、起きるまで待とうぜ?」
「……ああ」
にしても、ロティちゃんのレベルアップとチーちゃん自身久しぶりのレベルアップとは言え。
ここまで時間がかかるのは変だ。
フィルド達が何か操作していてもおかしくはないだろうが。
それにしても変だ。記憶の操作の場合は一瞬なのに。今回はもうすぐ二十分くらい。
あまりに長いから、もう一度チーちゃんを覗き込んでも、水晶色の瞳に光がないだけ。
ロティちゃんも似た感じだ。
いったい……二人に何が起きたのだろうか?
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