92-1.二種類のアイスクリーム
*・*・*
パンケーキ作りは一旦置いといて。
まずは、トッピングに必要なアイスクリーム作りからだ!
「片方はさっぱりがいいから。ヨーグルトと木苺をロティのミキサーにかけて」
よーく混ざったら、一度ボウルに移して。次に生クリームと砂糖を入れて角が立つまで泡立てる。
これが出来上がったら、木苺の方を生クリームのに入れてさっくりと混ぜて。泡はつぶさないように気をつけて。
「バットに入れて、時々かき混ぜて冷凍庫にしたいところを」
まずは、さっぱりめの木苺とヨーグルトのアイスクリームの出来上がり!
「これよこれ! アイスクリーム!」
「ふむ。生クリームを使うとなると少しこってりとしたイメージがあったが。ヨーグルトのお陰でさっぱりしているね?」
「これは、夏にはぴったりの逸品ですよ料理長!」
『冷たくて、ひんやりするでやんすー』
『美味ちーでふぅうう!』
【PTを付与します。
『さっぱり木苺ジェラート』
・製造2リットル=6000PT
・食事ひと口=300PT
→合計6300PT獲得
レシピ集にデータ化されました!
次のレベルまで、あと265700PT
】
ヨーグルトのお陰で、シェトラスさんの言う通りにこってり感はあまりない代わりにさっぱりと仕上がり。
けど、生クリームのお陰でシャーベットのような食感がない分クリーミーに仕上がり。
加えて、摘みたてのラズベリーとも違う木苺の甘酸っぱさがあとを引く仕上がり。
これをふわふわパンケーキに加えたら、言うことなしだろう!
「では、次のバニラアイスクリームも作っていきましょう!」
ただ、ロティを使う以外全員で手作業を分担して。
卵を割る人。
湯煎で卵を割りほぐしたのを砂糖を加えて混ぜる人。
私はロティと生クリームと砂糖を加えて混ぜたのを泡立てて。
そして、仕上げにそれらをヘラでさっくり混ぜてバニラエッセンスを加えて。
冷凍庫の手順は木苺と同じく、
アイスクリームの定番中の定番、バニラアイスクリームの出来上がり!
「「「『「では……」』」」」
『でふぅ!』
全員でティースプーンでバットの中のアイスクリームをひとすくいして、口に入れる!
【PTを付与します。
『定番中の定番バニラアイスクリーム』
・製造2リットル=6000PT
・食事ひと口=300PT
→合計6300PT獲得
レシピ集にデータ化されました!
次のレベルまで、あと259400PT
】
「「『「ん〜〜!」』」」
『美味ちーでふうううう!』
卵とクリームの濃厚な味わいに、バニラの香り。
あとは砂糖だけとはいえ、この味はやっぱりくせになりそう。
前世以来のアイスクリームの再現とはいえ、うまく行きすぎだ。
とっても美味しい!
「成功ですね!」
「やっばいよ、チーちゃん。これをパンケーキのトッピングにだなんて贅沢過ぎるだろ?」
「けど。そこまで手順は難しくないし。孤児院の子供達に教えても」
「チャロナちゃん、それはどうかな」
「シェトラスさん?」
いつもなら賛成してくれるシェトラスさんが、スプーン片手に少し難しいお顔をされた。
「これだけ美味なるお菓子。欠点が一つありそうなんだけど」
「え、えと……はい」
「多分食べすぎでお腹を冷やしてしまうとか」
「「あ!」」
歯の大敵である虫歯もだけど。
アイスでよくある、頭痛以外にもお腹を壊してしまう危険性が高い。
そのことを、初めて食べたシェトラスさんは瞬時に見抜いてしまった。
「やはり、だね。まず冷たいもので体調を崩すのは。この世界だと飲み物しか今のところ復活していないからね。酒の席でもそういうのが時折あるんだ」
「そうですね……。うっかりしてました」
「なに。子供達の事を考えてくれてのことだ。メインのパンケーキはそうではないようだし、アイスの方は一度旦那様にも確認を取ろうか?」
「はい……」
【枯渇の悪食】によって失われたかどうかはともかく。
子供達の体調を気遣うのだなんて、すっかり忘れてた。
喜んでもらえるのももちろん大事だが、食べ過ぎ以上の体調不良を引き起こしてはいけない。
前世のパン屋でもだが、今の料理人としてでも、注意を疎かにし過ぎてた。
シェトラスさんが気づかなければ、少し先の未来で子供達が寝込んでしまってただろうから。
なので、気持ちを切り替えるべく、私は自分のほっぺを両側から強く叩いた。
『『ひょ!』』
「気合、入ったか?」
「うん。カイル様達にも、二種類のアイスクリーム食べてもらうことにするよ!」
そうと決まれば、次はパンケーキ作り!……と思いきや。
「やあ、皆頑張っているようだね?」
「「大旦那様!」」
「拙者もでござる」
「親父!」
『大旦那!』
「……俺も、だ」
「アインズさん!」
何故か、お父様方が厨房にやって来たのだった。
「うんうん。チャロナちゃん、リーン達の祝賀会は本当にありがとう。予想以上に美味しいご馳走を食べさせてくれて」
「い、いえ。自分の出来ることをしたまでです」
デュファン様が私の頭を優しく撫でてくれる手つきは、やはり親子なのかカイルキア様とよく似ていた。
お顔もよく似ていらしたが、耐えず笑みが浮かんでるの有無は違うけれど。
「うんうん。程々に息抜きもするんだよ? 今日はアインズがたまに君の顔が見たいと言ってたから連れてきたんだ」
「おい、デュファン!」
「事実だろう? 新しい人形も作ってたんだから」
「え?」
『にゅ?』
デュファン様が無理やりにアインズさんを前に出すと。
彼の手の中には、丁寧に包装されたぬいぐるみがあったのだった。
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