84-2.とろとろ善哉、PT倍増






 *・*・*









 さぁてさて。


 善哉作りと言っても、お餅と小豆の下ごしらえ以外そこまで難しくはない。


 小豆については水分と甘みを調整して作るくらい。


 お餅は、搗き立てを活かしたままがいいか、炙るタイプでいくか悩んだけど。


 昨日、いちご大福でたっぷり柔らかいままのお餅を食べたんだから、今日は香ばしく行こう。


 寸胴で小豆を炊いてから、私達厨房組はお餅の切り分け作業に移る事にした。



「せっかくなので、ちぎって丸く整えましょう!」


「そこから、焼く……のかい?」


『焼いた……モチ?』


「それをさらに、アンコのスープに入れてしまうのか」


「すっごく、すっごく美味しいですよ! 炙ったとこを破って、そこをスープに浸すとトロ〜っとして!」


『うーん。食べてみないと想像つかないでやんす』


『ほっぺが落ちるくりゃい、美味ちーんでふぅううう!』


『そ、そうでやんすか?』


『あい!』



 とにかく、準備あるのみ。


 まずは、エイマーさんとシェトラスさんがお餅をひと口より少し大きめにちぎって。


 それを、餅取り粉のコーンスターチの中にくぐらせたら、私とレイ君が丸く整えて。


 これを、大きめのバットに置いては……を繰り返したら、あっと言う間に大きいボウル二つ分出来上がりました。



「残りは、なくなってきたらまた作りましょう」



 その間に、昨日ウルクル様からリクエストのあったいちご大福作り。


 まずは、蒸したもち米をロティが変換チェンジする餅つき機に入れるのだが。



変換チェンジ、餅つき機!』



 ロティが変身してくれた餅つき機は。


 ナビ変換が進化してるだけあって、大容量の餅つき機になっていた。


 パッと見、2キロはつけるんじゃないかなって。


 けど、今日はウルクル様だけだから、1キロで十分だろう。蒸したもち米を入れてから、スタートボタンを押してスイッチオン!



『にゅ〜にゅにゅにゅ〜


 にゅにゅにゅ〜にゅにゅ〜にゅにゅにゅ〜』


「『「「にゅ?」」』」



 また、なんともまあ可愛らしいテンポで歌い始めてしまった。


 一応声を掛けても、餅つき機が稼働し始めたので、モードに専念してるのか歌以外返答があることもなく。


 もうここは、スルーしておくしかないか、と全員で決め込んで大福用の餡子を作る事にした。



「えーっと、餡子はいちごの土台にすると包みやすいので。今日はそれにしましょう」


「うん」


「わかったよ」


『了解でやんす』



 お餅で包む前に、固めに作った餡子を手のひらに乗せて。そこに小粒の夏苺を乗せて、いちごのヘタ部分を覆うように包んだら。



『出来まちたでふぅうう!』


「ナイスタイミング!」



 いい感じにお餅が出来たと言うことで、ここは昨日と同じ分担で進めていく。


 餅つき機で搗いたお餅は、とても滑らかで美味しそうに見えて。


 ああ、すぐにでもあんころ餅で食べたくなっちゃうけど、これはウルクル様の分だ。


 丁寧に作ってから、お皿ごと無限∞収納棚に入れてしまい。次に大量に作ったお餅を、炙りスコーチで表面をこんがり炙って。


 お椀に近い陶器の入れ物にお餅、善哉の順に注いで。


 出来上がったら、立ったままだけど全員でいただきますをする。



「『「んん〜〜〜〜!!!!」』」


『美味ちーでふぅ、ご主人様ぁあ!』


「うん、美味しいね!」









【PTを付与します。



『とろとろ善哉』

『もちもちいちご大福』


 ・製造10リットル=500000PT

 ・食事1杯=1000PT

 ・製造30個=45000PT



 →合計546000PT獲得



 豊潤の効果、ならびに口福の効果により、


 もち米=100000000コロン獲得



 次のレベルまで、あと3025250PT




 】





 そして、またもや大変なPT数を獲得してしまった。


 この勢いなら、毎日ピザかお餅を製造したらレベルアップがすぐにでも……。



(けど、肥満予備軍を出しちゃいけないわ)



 パンもだけど、どちらも炭水化物の塊だから。


 カイルキア様もかなり召し上がられてるけど、それでも普段から鍛えていらっしゃるもの。燃焼率が高いからだ。


 は、とりあえず置いといて。


 善哉の仕上がりは、とても優しいし。喉越しもいい。


 少し炙って、程よく焼いたお餅が汁に浸かった部分はとろとろに仕上がってて、美味しくて。


 これは、二杯くらいいけそうだ。


 おかわり続出は想定内。


 なら、下準備をしておくまで。



「皆さん、下準備をしておきましょう。これは、おかわりが多く予想されます!」


「その通りだね、チャロナくん!」


「お餅は先に炙るよりも、直前がいいだろうね?」


「そうですね、お餅が固くなってしまいますので」


『でやんす!』


『でふぅ!』



 とりあえず、準備を進めて進めて。


 シェトラスさんには、各部署に魔法鳥を飛ばしてもらって、時間になったら食堂に来てもらえるように手配して。


 まず、最初にやってくるのは誰かな……と準備しながら待っていると。



「ヤッホー、チャロナ!」


「ごめんなさいね、また来てしまって」


「にーに、ねーね!」



 なんと、小豆の提供者でいらっしゃる、フィルドさんとユリアさん。


 それに、新しく小さい赤ちゃんが来られたんだけど。



「い、いらっしゃいです。そちらの赤ちゃんは?」


「俺達の親戚の子供。ちょっと預かってるんだけどねー?」


「色々事情があって。ちょうど、あなたに渡したい食材があったのだけど、ついて行くって聞かなくて」


『赤ちゃんでふぅう!』


「あー、妖精ふぇありー!」



 一歳くらいの大きさな者同士、なにかが共感出来たのか。


 ロティは、赤ちゃんの前に降りると、ヨシヨシと頭を撫でてやった。

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