【幕間】『小倉あんぱんのレシピ』






 ★・☆・★









 軽やかな音楽が暗闇に響き渡り、ある一点に向かってスポットライトが当たる。


 そこには、作者こと櫛田が頭の部分にシルクハットを乗せている。



『あんぱん……それは日本を代表とするパンの名前。超有名パン屋が起源とされてるが、アレンジはそれこそ星の数。あんぱんを主題にしたアニメキャラクターも、へぶし!?』



 櫛田の頬のような部分に、戦斧バトルアックスのようなものがぶつかってきた。



悠花ゆうかさん、何してるの!?」


「ダメよ、チーちゃん。著作権侵害の恐れがあったから、防いだまでよ」


「け、けど、作者さん死んじゃう!」


「死なない死なない」


『お、おのれマックス……何してくれんねん!』


「あんたが悪いんでしょーが! いつもみたく後ろでスタンばってるわけにはいかないわよ!」


『まだ伏せ字もしてにゃいのに!』


「それでは遅いわ!」


「え、えーと……喧嘩はやめてあんぱん作り行きませんか?」


『面倒だけど、しなきゃなんないかねぇ』


「面倒でもするのよ!」









『ベーシックな小倉あんぱん』




 <材料>

《餡子》

 小豆(200g)

 水

 砂糖(250g)



《生地》

 強力粉

 砂糖

 塩

 卵

 牛乳

 無塩バター

 イースト



《別途必要》

 打ち粉

 ドリュール用の卵

 ケシの実か黒ごま





『小豆炊くのは、作中でもあったようにとっても手間がかかるので。ほかのやりやすい方法でも試してみてくださいな?』


「豆は前日から水に浸しておく方法じゃなくても炊けますので!」





《生地の仕込み》

 ①ナビシステムが変換チェンジした撹拌機ミキサーのボウル部分に投入。ここに、バター以外の材料を入れてスイッチを入れて混ぜ合わせる



 ②まとまってきたら、バターを入れてしっとりなめらかになるまで撹拌



 ③仕上がったら、オーブンを発酵器ニーダーポットに設定してボウルに移した生地を入れて三倍に膨らむまで一次発酵



 ④50gに分割して軽く丸めてまとめる



 ⑤鉄板に並べて、冷蔵庫に保存しておく





『冷やしておくと、伸びやすいですし打ち粉のつける量も減ります』


「なんでよ?」


『べちゃべちゃの生地のままじゃ、麺棒で伸ばしてもひっつくだろう?』


「なーる?」


「もちろん、お店によって方法は違いますので。常温で作る場合もあります!」





《餡子の仕込み》

 ①前日に、小豆をひたひたの水を入れた鍋においておく



 ②1.5リットルの水に変えて、煮立つまで強火にかける。煮立ってきたら、30分を目処に炊く



 ③渋抜きのために、一度湯を捨てる



 ④ザルで一度湯を切ってから、また鍋に戻して水を1リットル入れて強火で沸騰させる



 ⑤豆の一部が割れてきたら、じんわりと炊くために弱火で表面が泡立たないようにする



 ⑥20〜30分で湯の色が変わってくる。豆がすべて割れるようにじっくりと30〜40分ほど炊く



 ⑦芯が残ってないか、食べて確認。大丈夫ならシンクに置いて、流水で少しずつ湯と水を入れ替える



 ⑧鍋の湯が完全に水に入れ替わって、水が透明になってくるまで冷やし続ける




『これで、割れた小豆の皮がきゅっと引き締まって、お玉でもすくえるようになるんでふよ〜』


「少し不思議よね〜」





《餡子の仕上げ》

 ①ザルで水を切った小豆を鍋に入れ、砂糖を入れてまぶすように鍋を回す



 ②小鍋なら、まぶすのを繰り返しながら火にかけて中火で。大鍋なら木べらで潰さないように混ぜる



 ③水が出てきて、ぐつぐつと煮えたら、時々小豆を手前から奥に押すようにして木べらで動かす

 →それを10分くらいこね続ける



 ④水気がなくなったら、つぶあんにすべく潰していく



 ⑤自然冷却の場合、大皿に取り分けて置いておくと早く冷める




《成形》

 ①冷蔵から取り出した生地を、軽く打ち粉をつけてガス抜き



 ②麺棒で、ゆっくりゆっくりだいたい10cm直径になるまで生地をかわるがわる伸ばしていく



 ③アンベラを使い、生地と同量の50gの餡子を少しずつ乗せて、腰高になるように詰めてとじていく



 ④シリコンシートを乗せた天板に、等間隔になるように置いたら、オーブンの発酵器ニーダーポットで35℃・80%の湿度に設定して一時間程二次発酵



 ⑤ドリュールを塗り、麺棒の先にケシの実か黒ごまつけて、判子を押すようにして乗せる



 ⑥160℃に余熱したオーブンに入れて、12〜13分焼く

 →焼き色によっては、余分に焼く




『とまあ、こんな感じ。いや〜〜疲れた疲れた』


「ほんと、小豆炊くのは面倒ね〜」


「手間はかかるけど、その分美味しいし。私は久しぶりに作れてよかったよ?」


「チーちゃんは、毎日作ってたの?」


「うん、毎日。肌に餡子の匂いが染み付いちゃうくらい」


「微妙なフレグランスね……腹が減るわ」


『じゃあ、あんぱん食べようか?』


「ところで。最近あたしの出番が激減してなあい?」


『ドッキーン!(◎_◎;)』



 櫛田がそそくさと逃げていく。


 当然、マックスは追いかける。



「じゃ、じゃあ、また今度〜?」



 だんだんと辺りが暗くなっていく。

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