41-2.白あんぱん作り②
さてさて、ここからは仕上げの餡子作り。
作った大量の生あんを、最終的に白あんにする作業。
甘味を足して、練っていく重要な作業だ。
これを普通に鍋で練っていくわけだが。
「
本当になんでもござれな
ひょっとしたら、レベルアップと並行して中身が増えていってるかもしれないが今は確認してる暇がない。
とりあえず、生あんを入れれるだけ鍋に入れたら火にかけます。
「このままだと砂糖を入れても焦げ付くと思いますが、手作業で絞ったのでどうしても水分が残ります。逆に、それを利用して練っていくとほどよく水分を含んだ餡子になるんです」
全員が頷いてる事を確認してから作業に取り掛かる。
白砂糖を入れて木ベラで練っていき、だんだんと水分が出てきたら好みの硬さまで砂糖を溶かして練っていく。
ちょっと味見をしていい感じになったら、バットに移して粗熱を取る。
鍋は複数あったので、これは全員で取り掛かります。
全部が出来て、自然冷却と
「まず、餡子にこれを加えます」
プレーンももちろん作るが、見つけた時に決めた食材。
それはそれは?
『パンに苺が合うのは知ってるでやんすが、あえて乾燥させたのを?』
そう。レイ君が言うように、用意したのは手作りのドライフルーツになった苺。
普通なら生の苺をと思うかもしれないが、生だとダメ。
せっかく、水分をほどよく抜いた白あんに水分が逆戻りして風味も移り過ぎるから。
そこを説明すると、レイ君もだがエイマーさんもなるほどと頷いてくれた。
「あと、包みやすさと飾り付けにも最適だからです。今から包んでみますね?」
適温に冷やした生地を手に取り。
カレーパンのように丸く、少し厚みを出して麺棒で伸ばして。
アンベラで、粗く刻んだドライ苺を混ぜた餡子を適量乗せて、ピンポン玉のように包み込む。
これを数回繰り返してから、目印と飾り付けの意味でドライ苺のカットを一、二個乗せておく。
逆に、プレーンの白あんにはケシの実があったのでそれをドリュールを塗った後に乗せる予定。
「二次発酵も
あっという間に一時間経過させた、ふっくらした生地が出来上がったら。ロティにはオーブンになってもらい、ドリュール、プレーンのにはケシの実を乗せて一気に焼く!
「おお。甘酸っぱくも、いい香りだね!」
今日来る使者の方の性別は、うっかりカイルキア様から聞きそびれてはいたけど。
苺は好き、って言うのを聞けたから思いついた一品。
後片付けを終えたら、味見も兼ねての全員で試食と言うお決まり。
オーブンから出した苺白あんぱんは、見た目だけなら桜あんぱんにも似ていた!
「随分と可愛らしい」
「香りもさる事ながら……甘酸っぱさと香ばしさが加わってなんとも言えませんね」
『でっふぅ、でふぅ! あんぱんには牛乳でふ!』
「「牛乳??」」
『なんでやんすか、ロティ?』
『牛乳は正義だからでふ!』
「「『はあ?』」」
「けど、相性はいいんです。アイスミルクを作って食べてみましょう!」
と言っても、巨大牛の『コロ牛』って精霊に近いモンスターの濃厚牛乳に氷を入れて飲むだけ。
基本的に、厩舎には魔物、精霊種問わず、様々な家畜に向く動物達が多く。
貴族の特権?と言わんばかりに、高級食材を産み出す家畜達をエスメラルダさん中心に集めて育てて。
このコロ牛の牛乳も、脂肪分が少ないのにあっさりで濃厚。シチューにも重宝される美味しい牛乳だ。
私がこのお屋敷に来て最初に食べたクリームスープも、このコロ牛乳から作ったらしい。
とにかく、冷やしたコロ牛乳とあんぱんの試食会を食堂側ですることに!
『あんぱん〜あんぱんあんぱん、あんぱんあんぱん!』
ロティは疲れた顔を見せずに、白あんぱんを目の前に出されるとすっごくご機嫌さんになった。
『…………ロティ。そんなにも、このパンが好きでやんすか?』
『大ちゅきでふ!』
『う』
ロティのキラッキラ笑顔に、レイ君は心臓に重症を負った!
思わず、前世の某モンスターゲームの技みたく解説したくなっちゃったが、実際に机に突っ伏してしまった訳で。
ロティは自分がした事がよくわかっていないけど、あんぱんが目の前にあるから変わらずご機嫌さん。
とりあえずは、レイ君をなんとか起こしていただきますをすることに。
「ケシの実も香ばしくていい香りだ。こんな使い方もあるとは」
まずは、料理長のシェトラスさんから。
割って綺麗に埋まってる白あんも眺めてから、パクリと頬張ってくださった。
「なんとも言えない優しい味わいだ。苺がなくても十分に美味しい。これを……牛乳とだったね」
なので、アイスミルクを一口飲むとぱあっと顔が輝いた。
「ロティちゃん、君の言う通りだよ。これは相性がいい!」
「わ、私も!」
エイマーさんも我慢が出来ずに苺の方を頬張ると、シェトラスさんと同じように顔が輝いた。
「すごい。パンも香ばしいが、クリームとは違う優しい甘み。甘酸っぱいイチゴも少し水分があるが、これが一番だ! 生じゃなくて正解だよ!」
『うんまいでやんす!』
「ん、牛乳とも本当に相性がいいね!」
『でっふぅ、ご主人様ぁおいちーでふぅ!』
「じゃ、私も」
せっかくなので、苺入りのを一口。
まず先に、苺の香料を含んだ香ばしいパン。
次に噛むと、程よい甘みの白あんとドライ苺のコラボ。
次に次に、と食べたくなる甘さが楽しくて。
途中流石に喉が渇いたので牛乳を飲めば、濃厚でもあっさりとした牛乳の味が舌を休ませてくれる!
【PTを付与します。
『あっさり白あんぱん』
『苺白あんぱん』
・製造各200個=各2000PT
・食事各1個=150PT
→合計8300PT獲得
レシピ集にデータ化されました!
次のレベルUPまであと4792767PT
】
プレーンも食べ終えてから、天の声が聞こえてきた。
(やっぱり、ジャンキーなメニュー以外はそんな大きなPTはないって感じかな?)
ウィンナーロールも、惣菜パンとは言えほとんど他のと差はなかったし。
一度、試作してみたいパンが出来たので、明日以降に作ろうと決めた。
「おやつ分以外は、収納棚に入れておきますね?」
おそらく、だが。
王宮からの使者の方にも、私とロティの事は話されているかもしれない。
その力量を確かめられるかもしれない。
カイルキア様が特になにも言われなかったから、きっとその場で打ち明けるかもしれない。
だから、自分の
「さあ、チャロナくん。一度お風呂に入ってくるといい。いい香りではあるが、メイミーには少し毒だ」
「あ、ははは……」
これから、しっかりメイクアップ!と待っているメイミーさんのお腹を空かせてしまっては大変だもの。
なので、ロティと一緒にお風呂に入ってから向かえば、メイミーさんがにっこーって音が出そうなくらいの笑顔で出迎えてくださった。
「さあ! 社交界に行けてもおかしくないくらい綺麗にするわよ!」
『でっふ!』
「ロティちゃんも次にするからね?」
『はわわわ!』
と言う訳で。
結果、『化けた!?』と思えるくらいに綺麗にメイクアップさせられ。
最終段階として、最敬礼の復習をしてからカイルキア様の使う応接室に全員でゆっくり向かいました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます