第8話

今朝は、紺色に黒を混ぜたような空の色で、今日という日に期待を持てるとは到底言えない、そんな空の色だった。

ぼんやりと目覚め、毛布を鼻までかぶって目だけをカーテンにやりながら、「...無理...」と呟く。

夏は、今日が来たぞ!やるしかない!というモチベーションにさせてくれるような空を演出してくれるというのに、冬はといえば、今日も来てしまった...というなんともやる気の削がれる空の色を見せてくる。

溜息をつきながら、脳内で今日の予定を整理する。

しかし。12月の私は強い。

クリスマスのアドベントカレンダーを開けるという朝の行事があるからだ。チョコレート菓子が出てくるものと、化粧品類が出てくるもの、それぞれを開ける。

たったこれだけで、今日も、がんばるか、と思えるし、今日を頑張って暮らした後、夜飲むお酒のことまで考える余裕が生まれる。アドベントカレンダーをひとつ開けるだけで心が回復するなんて。なんとも単純だ。

そんな単純な自分が嫌いではなかったりする。...今日も程々、気合を入れて、雑多な街へと身を投じる。

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