ユカ⑮
ユカの初出勤から2週間が経った。
ユカが特に仲良いヘルプのバースデーイベントがあった。
1番近い日程だったため、俺が仲良くなるように仕向けていた。
ユカは初出勤から今日まで明らかに疲れ切っていた。
どこかに寄る余裕もなく、家に着いたらすぐ寝るという生活を繰り返していた。
今日が久しぶりのちゃんとした休みらしい。
もちろんショウからの情報だった。
この日はユカから店に来たいと言ってきた。
良い流れだ。
来店してすぐにユカに聞かれた。
「シャンパンおろしたら会計いくらぐらいになるの?」
はヘルプに「シャンパンよろしく!」と言われたらしい。
通常のシャンパンもあるが、イベント用のオリジナルシャンパンもある。
通常よくおりるのより少し高い。
ブランデーをデコレーションしたりしてオリジナル感をだすホストもいる。
そうなるとそれこそ何百万になる。
しかし、ホストクラブのめんどくさい所がここにTaxがかかることだ。
俺のグループではTaxが30%かかる。
オリシャンをおろし、セット料金、指名料金、など込みで考えると最低でも7~8万円はする。
なんでこの値段になるかを細かくユカに説明しても、理解されず無駄なことはわかっていた。
そのため俺はこの金額になる、と金額のみを伝えた。
ユカは口にこそ出さなかったが、明らかに驚いていた。
思ったより高かったのだろう。
今まで1万円そこら辺だったのが、7万円になると高く感じるのは仕方ない。
「どうしようかな。」
ユカは悩んでいた。
風俗を始め、金を使わせるには良いタイミング。
ここで使わせないと今後上がるタイミングはない。
この日バースデーのヘルプに着いてもらい、後押しをしてもらうことにした。
俺はバースデーのヘルプにユカの席を任せ、一旦ユカの席を外れた。
俺はヘルプに回っていた。
今日バースデーのホストのシャンパンコールが、色んな席で行われていた。
俺は30分ほどヘルプをして、ユカの席に戻った。
「売掛してもいい?」
ユカが席に着いたばかりの俺に言ってきた。
基本あまり売掛はさせたくなかった。
しかし、一緒に住んでるユカが俺から逃げるメリットはない。
ユカにそんな度胸もない。
「いいよ。」
俺はそれだけ言い、伝票にオリジナルシャンパンと書き、内勤に渡した。
15分ほど経つと店内が暗転し、聞き馴染んだ音楽が流れた。
人のシャンパンコールをしすぎて、シャンパンコールは音楽なくても空で言えた。
スポットライトが俺とユカを照らし、従業員が俺らの席を囲んだ。
久しぶりのシャンパンコールだった。
俺は久しぶりのシャンパンコールでテンションが上がった。
これがホストだ。
何か月かぶりにホストに戻ってきた気分だった。
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