ユカ⑬
ユカの風俗初出勤の日。
俺は特になにも言わず、いつも通りだった。
ユカが風俗で働くのは知らない設定だ。
ユカは明らかにいつもと違う感じだった。
ソワソワしていた。
特に俺には何も言ってこなかった。
「ちょっと出かけてくる。」
そう言い、昼過ぎくらいに出て行った。
俺は適当な返事をして、特に探る感じも出さなかった。
その日の夜中、ショウから電話がかかってきた。
「今日、ユカちゃん初出勤だったね。初出勤やと店側も客に推すから、忙しかったかも。そこそこ稼いでたよ。」
「ありがとうございます。」
なんかあったら報告お願いしますとは言ってた。
しかし、そこまで細かく報告してもらえるとは思っていなかったので、少し驚いていた。
ユカがめちゃくちゃ稼げるような上玉な女の子だったらまだしも、素人目に見てもそんな感じではなかった。
ただ単にショウが仕事が出来るということだろう。
安心した。
スカウトがホストと手を組めばwin-winの関係になる。
スカウトは風俗やキャバクラで働く女を探している。
ホストは女を稼がせたがっている。
組めばお互いデメリットはない。
しかし、実際手を組んでうまいことやってるスカウトとホストを聞いたことがなかった。
同じグループでホストクラブとスカウト会社を経営してるところはある。
しかし、個人同士でそれをやると、欲に駆られてうまくいかない。
スカウトになる奴も、ホストになる奴も、金か女が欲しくてやり始める。
不純な動機で、自分の利害関係でしか動かないだけの奴らだ。
そんな奴らが提携など出来るわけない。
逆を言えば、ショウのような自分の利害だけで動かず、相手のことも考えれるスカウトは結果的に上手く稼げる。
そういう人が女からも信頼される。
スカウトをしたことがないから詳細は知らないが、多分そうなんだろうな。
ショウを見てたらそう感じた。
営業が終わり、家に帰るとユカがすでに帰ってきていた。
パッと見でもわかるぐらい、疲れている様子だった。
帰りに近くのスーパーで、二色丼の材料とアイスを買ってきておいた。
ユカは甘い物全般好きで、特にアイスのチョココーヒー味が好きだった。
「おお、買ってきたけど二色丼食う?あとアイスもある。」
「やった!食べる!」
二色丼を作り、ユカに出す。
パピコは食後のデザートだった。
二色丼とパピコ片方のみを食べ終えると、風呂にも入らずユカは寝た。
疲れてはいそうだった。
なんとか続けて行けそうだな。
俺はユカの寝顔を見つつ、少し安心しながら眠りに入った。
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