ユカ⑨
「スカウト以外にもなにかしてるとは聞いてましたけど、現場の仕事なんですね?」
「そんな感じだね。他にも色々してるけど。驚いた?」
「ええ、まあ。」
他にもしてること。
それは違法なのか、合法なのか。
俺はスカウトのこと以外は聞かないことにした。
「まあそこら辺は置いといて、ユカちゃんだっけ?彼女のこと詳しく聞かせてほしい。」
俺はユカの知っている情報を出来る限り話した。
「なるほどね。風俗始める理由としてはよくある感じだね。どの位稼がせたいとかある?」
「月に100万は稼がせたいと思っていますが、ぶっちゃけどう思いますか?」
「もちろん、不可能ではないと思う。ただ、出勤日数にもよるけど、大阪では厳しいかも。大阪は高級店か格安店かみたいな2極化しててね。この前送ってくれた写メ見たけど、あのビジュアルで高級はキツイかな。そもそも面接受からない。仮に高級店に受かったとしても、周りのレベルが高すぎてユカちゃんに指名入らないと思う。出稼ぎで中級店で働くのが一番稼げるかもね。」
「出稼ぎってどこらへんですか?」
「距離的にも良いのは四国、北陸かな。」
ショウの指摘は的確だった。
この意見だけで、話早くて仕事が出来るというのがわかった。
しかも思ったことも素直にすべて言ってくれるので、やりやすい。
「けどあいつ、多分大阪というか、僕から離れるのキツイと思います。」
「だと思っていくつか大阪の店ピックアップしといたよ。出稼ぎが稼げるとは言っても、あくまで毎日出勤して、ちゃんとした仕事が出来た場合だからね。ユカちゃんともLINEしてるけど、あの子にいきなり出稼ぎは重荷になりすぎると思う。」
「その通りだと僕も思います。」
「慣れてから出稼ぎ行ってくれればラッキーくらいに思った方が良いかもね。あ、紹介先の店のHP送ったから見といて。」
「ありがとうございます。」
俺のスマホには3店舗の分のURLが送られてきていた。
「全部ミナミのデリヘル。多分このうちのどれかになる。」
大阪では平均的な料金の店だった。
「なにか聞きたいことあればいつでも連絡してきてね。ユカちゃんとは適当にやり取りしておく。じゃ、また現場戻らないと。払っとくね。」
「了解です。ご馳走様でした。これからよろしくお願いします。」
俺は軽く頭を下げ、ショウを見送った。
不思議な人だったな。
けど、ショウは仕事が出来る。
今までに出会った、どのスカウトより動きに無駄がなかった。
俺は飲みかけのアイスコーヒーを全て飲み干し、喫茶店を出た。
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