第2話 淳の初めての恋

 じゅんは自分の名前が嫌いだった。

 もっと可愛らしくて

 もっと女の子っぽい名前が良かった。


「じゅんは名前が、ゆうなちゃんとかあいちゃんとかいちごちゃんが良かった〜」

「じゅんちゃんだって良いじゃない」

 バラ組の同じバスに乗る男の子だ。

「ほんと?」

「ほんと」

 

 幼稚園の広い庭の砂場で

 こんなふうに言われただけなのに。

 こんなふうに言われただけで、

 好きになった。


 淳の初めての初めての恋。


 だけどその子は、

 淳の友達が前から大好きな男の子。


 ここからもう淳は

 友達の恋を、

 友達の好きな人を

 奪っていった。


 友達から奪う快感が

 あったのかもしれない。


 だって必ず私を好きになる。

 そう信じていると

 向こうから

 やってくるんだから。

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