セイゼン眼球ケーブル #美味兎屋

作者 一式鍵

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★★★ Excellent!!!

 主人公はごみ溜めの中で目を覚ます。
 はて、どうしてこんなことになったのやらと妄想なのか現実なのかわからない空間をさまよううちに、美味兎屋という看板の掲げられた店?建物?にたどり着く。
 そこで今の自分の状態は自分が望んでなったものだと告げられるが、主人公にはその記憶が無い!
 ネタバレになりますが、普段通りにふるまうなら自分が何であろうと他人には関係が無い、ということを示唆してこの話は終わります。つまり、他人と関わるのには人間である必要はないのです。
 ではどうして、主人公はここまで困惑し、自分の状態に対して納得のいく証拠を見ようとしたのか。
 おそらくは自分の中に答えとなる記憶が無く、故に自分が自分であることの連続性を外にある物体から構成しようというある意味自然な衝動から幻を見てしまったのではないか、と私は考えました。
 仕事をするのは必ずしも自分自身ではなくてもいいという日常的な発想から非日常な選択をする、という点で主人公と私たちには共通点があります。
 さて、目の前に「美味兎屋」という看板の掲げられた立方体があったなら、あなたはどうしますか?