ことのはの迷宮 ~而して彼女は黒猫と共に文字の淵を渡る~

作者 三ツ葉亮佑

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★★★ Excellent!!!

ひとりの少女がおりました。
芯の強い少女でした。

ひとつの書物がありました。
なにものにも変わる物語を内包した書物でした。

ひとりの猫がおりました。
ひとりと数える猫でした。

少女は選択肢もなく本の世界へと文字通り没入し、そして自らという物語を旅します。
彼女がそれまでの人生で感じてきた、抑圧や恐怖を、敵としながら。
己を形成する過去のすべてを、自殺拳銃で打ち抜きながら。

ナビゲートはひとりの猫。

猫と少女の旅路に、終わりは来るのか──

その日の到来を待ち望んで、期待を込めて、星三つです。

★★★ Excellent!!!

タグに「SCP風」とあるように、そちらを想像してもらうととても分かりやすい。これは「SCPを無効化するために投入された、Dランク職員の物語」である。
ご存じない方向けに説明すると、物理法則を超越した異常な、そして危険なオブジェクトと、それを隠蔽し、確保し、管理する組織があり、その異常存在を処理するために「死んでもいい人間」として使われる少女のお話だ。

別の言い方をすると、「ホラー系探索ゲームが好きな人にはおすすめ」の一作。とはいえ、まだようやく3分の1を過ぎたあたりらしいので、今後どうなるかは分からない。けれど、この導入部はその種のジャンルとしては完璧だろう。
何となく、商店街の風景などはSteamで販売された「ゆめにっき(リメイク)」での風景を彷彿とさせる。最初のホームでの「見ていると気が狂いそうになってくる」という記述も、「ああ、オブジェクトをクリックしたらこのメッセージが出るんだな」みたいな感じがして楽しい。自分でプレイしたい! とか思ってしまう。

「ナビ助」もマスコットっぽくていいし、柿崎の目的も気になるし、涼子さんの「殺人未遂」はきっとこれから恐ろしい脅威として立ちはだかってくる。現在、最新のキハン三話まで読みましたが、今後もどうなるか目が離せません!

★★★ Excellent!!!

刑の軽減を条件に持ちかけられたのは、意外すぎるほど意外な行為――『一冊の本を読む』ということ。

もちろんこの本、ただの本ではありません。
これまで誰も最後まで辿り着くことが叶わなかった、いわば『呪いの本』です。

ひとたびページを開けば本に取り込まれ、異世界ならぬ奇世界に堕ちるという処分もままならない曰く付き。

そこに広がるのは、他でもない『己自身の物語』なのです。

今作のヒロイン・涼子は罪人ではあるものの、高い知性と強い精神力を見込まれ『本の読破』に挑むこととなるのですが、序章から既に地獄の様相。

何故なら、彼女の人生は始めから狂っていたから。

希望を抱くそばから摘み取られていく残酷な『己の世界』で、それでも果敢に駆け抜けつつ冷静に受け入れ、物語を紡いでいく涼子。

彼女の言動行動の端々に、内に秘められた芯の強さが光る様は、まるで闇を切り裂く一筋の雷光のように強く美しく、その輝きに目を射られながらも追い縋らずにはいられなくなりました。

対峙するのは、己自身。
武器となるのも、己自身。
また絶望を与えんとする相手も、己自身。

涼子はこの物語を終わらせることができるのか?
終焉の先に待ち受けているものは新たな未来か、それとも――?

一章を終えての感想になりますが、続きも楽しみにしています!

★★★ Excellent!!!

闇にのみこまれても仕方がないような生い立ちの主人公・涼子。
しかし生き物というのは、同じ境遇に置かれてもその個体によって違う行動をするものですよね。
涼子はその芯の強さを認められ、怪しい本に試されることになりますが、襲い来るのは自分自身の心の闇で、闇が深ければ深いほど敵は強い。路傍には心折れて倒れふす人もいます。
涼子は本を読み終えることが出来るのか?
どことなく文学的で奥深さを感じて良かったです。