附――アルイハ、◾️ノ戯言――

注釈:弐

 ナビ助。


 ナビ助、か。フフ。


 小生は数多の呼び名を貰ったが、そんな名前は初めてだ。ハイカラのように感じるが、どこか可愛さがある。不服かどうかと聞かれたら否だがーーまぁ、新鮮だから良しとしよう。


 さて読者諸君らは彼女の世界を目の当たりにしたはずだ。陰惨。抑圧。希望、期待という名の檻。敷かれただけのレール……人とは残酷なことをするものだ。


 否定はせぬよ。小生は涼子を否定したくない。


 あれはであっても、確かに涼子そのものなのだから。同情こそするが目を背けることなどできないよ。


 何?


 惚れたか、だって?


 フフ。


 自身の作品のキャラクターを愛さぬ作家がどこにいると言うのだね?



・払暁の世界

 明方の世界。赤子が暗い瞼を開き、世界を初めて見る世界だ。


 涼子ほど陰惨な世界はなかった。籠の中を徹底した世界は無かった。


 彼女ほどに歪な愛を受け取った人間はいなかった。


 だが小生が思うに、涼子の時代には数多く溢れている。


 きっと今の時代は、木に立って見る『親』ががほとんどいないのだろう。



・追う物達

 それは誰の心の中にある恐怖そのものだ。泡沫のように意味もなく現れては、宿主を――主人公を虐げようと嘲笑いながら追いかける。


 とりつかれたら最後。それだけで人は心が折れてしまう。彼らに捕まり立ち直った者は一人もいない。


 だが、脆い。


 存外に脆いのだ。それに気がつくことのいかに難しいことか。


 敵の強さは自分自身の恐怖の相反だということを識るには、運も必要かもしれない。



柿崎かきざき

 涼子を本に誘った張本人。さる財閥のボンボンらしいが、酸いも甘いも識る芯のある男のようだ。


 どうやって涼子を知り得たのかは小生は知らぬが、中々の慧眼の持ち主のようだ。だが己を本に投じさせるリスクは犯さない。善悪があるのであれば、悪よりの善性を持つ人間なのだろう。


 何が目的なのだろうか。小生も興味がある。





 物語は進む。涼子の歩みによって、確実に進む。


 最初の関門は踏破した。これを越えたものは数えるほどだった。


 だが次の世界は中々に難しそうだぞ?


 それは――メビウスの輪のように。


 そうでなくても、道が円を描いていたとしていたならば。


 いったい、どこまで歩けばいいのだろうな?

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