第72話 決意
「お兄ちゃん」
「どうした?」
かすみは笑う。
「今だから言うけどね」
「うん」
「私、最初はお兄ちゃんの事が、あまり好きではなかったんだ」
だろうな・・・
「最初は、仕事みたいな付き合いだった。でも今は、お兄ちゃんの事が大好き」
「どうもね・・・」
愛着みたいなものか・・・
「で、本当の目的だけど・・・」
「うん」
「お兄ちゃんには、ある運動を起こしてほしいの?」
「運動?」
何のことだろう?
「捕鯨反対運動って知ってるでしょ?」
「ああ、名もない青年が始めたっていう、あの?」
「うん。だからお兄ちゃんにも出来るはず」
かすみは、簡単に言うが・・・
「でも、何の運動をだ?いきなり『地球を守りましょう』とかいっても、
笑い者になるだろう?」
「確かにね。そのために、アニメを作ってもらったんだよ」
「アニメを?」
「うん。お兄ちゃんが作ったアニメを見れば、その運動は全世界に広まるわ」
かすみがいうと、安心するから不思議だ。
「で、何の運動だ?」
「それはね・・・」
≪雅志さん≫
≪豊さんですか?≫
≪そうです。秘密にしていてすいません≫
≪それは、構いませんが・・・≫
≪今からかすみが言う事は、真面目です。≫
≪ええ≫
≪ですので、受け止めてください≫
≪わかりました≫
「お父さんからの、交信?」
「うん。念を押されたよ」
「話を戻すね」
「ああ」
かすみの発言に、覚悟と決意を決めた。
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