第49話 機中で

飛行機は、アメリカに向けて飛び続ける。


   【まーくん、あれが私の住む世界、2200年の地球だよ】

   【驚いたでしょ?水の惑星が、水だけの惑星になったんだ】

   【地球温暖化の影響で、地球上の氷が全て溶けたんだ】

   【今、人類など生き残った生物は、宇宙センターか、海中のシェルターに2文化している】

   【私の時代ではもう、手遅れだけど、君の未来は、こんなに悲惨にしないで】


スヤスヤ

「・・・お兄ちゃん・・・」

スヤスヤ

「・・・お兄ちゃん・・・」

スヤスヤ

「お兄ちゃん」


その声に、飛び起きる

「どうした?かすみ」

「ごめんね。起こして・・・何か、夢見てた?」

「・・・うん・・・」

「どんな?」

「かすみと出会って、2200年の地球を見る夢・・・」

「そっか・・・奇遇だね」

かすみは、何かを見ている。


「それは?」

「私の住む、2200年の未来の写真」

そこには、あの時に見た光景が、映っていた。


「懐かしい?」

「・・・うん、あれでも私の育った地球だもんね」

「そっか・・・」

今、僕たちは、アメリカに向かっている。


アニメを制作するためだが・・・

果たして、アニメを作ることと、地球の未来を変える事、

関連性はないと思う。


「地球環境を守りましょう」

何てテーマのアニメを作り、

「はーい」

なんて素直に聞くようであれば、苦労はしないが・・・


イラストも同様だ・・・

絵柄とは、関係ないと、今更思う。


「お兄ちゃんの、考えている事はもっともだよ」

「えっ?」

「確かにいきなりは、無理だと私も思う。でもね・・・」

「でも?」

「人の心を動かせるのは、人の心」

「人の心?」

「うん、すぐには理解されないかもしれないし、それでいいと思う」

「かすみ?」

「ただね。お兄ちゃんの絵には、人の心を動かせるだけの力がある」

「そんな事は・・・」

「私が保証する。それは、お兄ちゃんが、人間として魅力があるからだよ」

「えっ?」

「私は、そう思う」

それだけ言うと、かすみは眠りについた。


疲れていたんだな・・・

これからも、よろしく・・・


かすみは僕の手を握ってきた。

(お兄ちゃん)

(うん?)

(気になっていると思うけど、私の後のふたつの力・・・)

(これを出す時は、いい事と悪い事が同時に起きるから、すぐには使えない)

(そうなんだ・・・)

(ごめんね・・・)

いや、いい・・・


これは、

(3つ目の力だよ、お兄ちゃん)

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