第39話 フランスへ

翌日、パスポート申請の手続きに行った。

一週間は、かかるそうだが・・・


「で、かすみ」

「何?お兄ちゃん」

「パスポートが必要ということは、また旅行?」

「違うよ、今回はお兄ちゃん1人」

「僕ひとり?」

「うん、私は行きたくても、行けないもん」

「なぜ?」

「私は、本来はこの時代には、存在しない人間だもの」

もう、かすみがいるのが、当たり前だったのか?

時々だが、忘れてしまう・・・


「来月、わかるよ、お兄ちゃん」

「今回も、力?」

「ううん、違うよ。お兄ちゃんの実力」

「実力?」

この時は、わからなかった・


3週間後、社長に呼び出された。

「お呼びでしょうか?社長」

「佐藤くん、来月の1日から、2週間、君に海外に行ったもらう事になった」

「海外?」

かすみの言っていた事は、本当だった。


「フランスで、我が社のデザインの個展が開かれることになった」

「はい」

「そこで、君に我が社代表として、行ってもらいたい」

(ご都合主義だな・・・)


「ひとりでですよね?社長」

「大丈夫だ。向こうにガイドがおる。君は、その人に任せておけばいい」

「はい」

「行ってくれるな?」

「喜んで、参ります」


こうして、フランスに行くこととなった。

かすみは、ロビーで見送ってくれた。


その時、頬にキスをしてくれたが、この意味は何だろう?


そして、僕を乗せた飛行機は、フランスへと飛び立った。

運命を左右する、重大な事が待っている事が、知らなかった・・・









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