第22話  5つ目の力の威力

結局、22時まで東京中、いや、関東近郊のJRに付き添わされた。

もし、かすみが現代に生まれたいたら、間違いなく鉄子だな。


そして、鉄道アイドル、略して鉄ドルとして、有名になっていたろう・


飯?駅内の立ち食いそばや、喫茶店で済ませた。

商店街で渡された、カードを見せたら、本当にただだった。


ただし、こちらも指定店に、限られてるが・・・


「なあ、かすみ」

「何?お兄ちゃん」

「2200年には、鉄道博物館があるって言ったよね」

「そうだよ」

「どんなんだ?」

かすみは、しばらく考えているようだった。

僕にもわかりやすく、頭の中でまとめてくれているようだ。


「昔、といっても私の時代からの昔だけどね」

「ああ」

「殆どの車両は、パネルとして展示されてるよ」

「保存車はないの?」

「そんなに長い間、持つと思う?」

まあ、無理だな。


「10種類くらいが、復元されて展示されているの」

「そうなんだ・・・」

どんな車両かは、想像がつく。


「世界の車両が?」

「ううん、この時代の日本の列車が10種類、他の国はそれぞれにあるよ」

「つまり?」

「日本鉄道博物館、フランス鉄道博物館、ドイツ鉄道博物館といった感じだよ」

「なるほど」

2200年でも、国境はあるようだ。


「かすみ、切符かってくるよ」

「えっ、JR線は無料パスだよ」

「乗車賃はね。それとは別に特急券がいるんだ」

「そうなの?お兄ちゃん」

「うん」

「知らなかった・・・それなら・・・」

「えっ?」

何か言いたそうだったが、訊かない方が吉だろう。


でも、都合がよすぎる気がするが、気にしないでおこう。


「かすみ、どれがいい?」

サンライズの車内表を見せる。

「これ」

かすみは、サンライズツインを指差した。


確かに、2人部屋の個室。

最適かもしれない。


「ただ、買えるかな」

「大丈夫だよ」

「どうして?」

かすみは、笑うだけだった。


買えた。

「かすみ、これは?」

「ううん、これは5つ目の力に含まれてるよ」


もしかして・・・

「お兄ちゃん、考えてることは正しいよ」

「えっ」

「あの商店街のイベント自体が、私の5つ目の力のひとつ」

「ひとつ?」

「でも、私の認識不足も多かったね。まだまだ未熟です」

いえ、ものすごい力です。

良くも悪くも・・・


まあ、お金はかすみの父親の力らしいが・・・


「でも、なぜ、そんなことをしてまで」

「話したと思うけど、お兄ちゃんと私には、大事な使命があるから、そのためには、この旅行が必要なんだ」

「それだけ?」

「半分は。もうひとつは、まーくんと、ゆっくりしたかったんだ」

今、お兄ちゃんではなく、まーくんと呼んだのは、かすみの本音だろう。


いろいろと気になる事はあるが・・・

細かいことを気にするのは、止めた。

細かくないか・・・

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