【秘】メイド長レポート 結

 18.

【キャロライン】

「お義父さまったら、この十年のことあまり話したがらないのよね。ちょっとあんた、探ってきてくれない? 女関係とか中心に(しれっと)」


【メイド長】

「お嬢さまが『銀狼の力に目覚め四天王の末裔を集め大冒険の果てに魔神王を打ち倒した』のと同じように、あのかたにも『魔法王国の陰謀で器用人の国にも魔神門が現われそうになったのを阻止した』戦いがあったのですよ」


【キャロライン】

「……なにそれ、初耳」


【メイド長】

「魔神にそそのかされた魔法王国の陰謀に対抗するため、この世界が異世界より召喚した英雄が貴女のお義父さまでいらっしゃいます。神より与えられた錬金術を駆使して、それはもう軍にいたときから多大なる武勲を挙げ――」


【キャロライン】

「マジで!? う、嘘でしょ? い、異世界から来たの!?」


【メイド長】

「嘘ですよ」


【キャロライン】

「嘘かよ」


【メイド長】

「(後半部分は)」




19.

【女狐黒服】

「魔法王国からの復興支援、総勢三百人の中にやはり小者の魔神スパイが紛れておりました。親分ガディスさんの協力で総てあぶり出してございます」


【メイド長】

「ガディスさんが何を見たのか、そしてケモフルールの銀狼姫将軍がどんな存在なのかをリークしてあげなさい。術士どののことは伏せ、包み隠さず、すべてです。なんなら親分から抽出した『お化粧』の記憶映像を見せて差し上げなさい」


【女狐黒服】

「かしこまりました(うわー)」




20.

【魔神アスタロン】

「うちの部下が向こうの世界の情報を持ってきたんだが」


【同僚魔神】

「うんうん」


【アスタロン】

「銀狼姫将軍がふたりに増えてるって話を報告したらサキュリスが血を吐いて気を失ってな。あの陰険な武闘派が泣きじゃくりながら戦争反対に鞍替えするほどだ。余程ひどい目に遭ったんだろうなあ」


【同僚魔神】

「記録映像があるんだって? 見てみようぜ。この『お化粧』って怪しいタイトルのヤツ」




21.

【メイド長】

「ということで、潜伏している――潜伏していた魔神の先兵および魔人の類いはすべて退去、あるいは解放された様子です」


【フェンリ三世】

「よほど怖いものを見たんだろうな」


【メイド長】

「戦意を挫くプロパガンダに最適かもしれません」


【アセナ】

「ちなみに私の得意技は『整体』なのよ♪ 関節をいっこいっこ数えていくんだけど、なぜか倍に増えちゃうってヤツ」


【フェンリ三世】

「……魔法王国の邪凶徒たちも可哀想に。今後どう出るにせよ、な」


【メイド長】

「此度の戦の影の発端である魔法王国の陰謀、そして戦闘国家の思惑、器用人たちの動き。解決する問題は多くございます。やはり今度はこちらから藪を突くのですね?」


【フェンリ三世】

「まあそれはいずれ、な。いずれ。表に出る話ではないかもしれんが、彼らならきっとやってくれるだろうよ。これも復興の一環だ」


【メイド長】

「――では、職務に戻ります、陛下。先代さま」





<『銀狼姫将軍はお義父さんと仲良くなりた過ぎて』 ひとまずの終わり>

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