敵にもランクがある
「みな、いいか。今日は決行の日である。我らの訪問を無下にした報いを、受けさせねばならん」
「「おお!」」
「で、でもお兄ちゃん。無関係な人まで巻き込むのは……」
「黙れっ!」
ビクッ!
妹は兄の一喝に身を震わせる。
「庇護下にありながら無関係だとは通らないだろう! 何より、我らにとって決闘、そしてそれをするための行為は最優先される。違うか!?」
「それは、そうだけど……」
「ならば、これも正当な行為であることは自明である!」
というやり取りを大声で行っているのである。
孤児院からは距離もあるのでそこに声は届かないという判断なのだろうが、それにしても大声でする話ではない。
俺が聞いてるのは空中からで、気にかけないだろうというのは差し引いても不用心である。
「どうも不穏な話をされているようですね」
「何者!?」
襲撃に備えて盛っていた(?)彼らはメイドたちの接近にも気づかない。
「私たちとしては、そのような話を許すわけにはいかないのですよ」
「どこの手の者だ!?」
「どこの、と言われましてもリブレ様の従者のものです。あなた方ごときにご主人様のお手を煩わせるわけにもいきませんから、代わりに相手をさせていただきます」
おいおい、煽りすぎだろ。
相手のこめかみぴくぴくしてるぞ。
「主のメイドはあんなに好戦的じゃったかの?」
「俺も今びっくりしてる」
メイドたちは俺に敵対する相手に容赦がないからな。
今回は俺に迷惑をかけようとしているという点が逆鱗に触れているのだろう。
「相手をしてやるのは構わんが、貴殿らも麗しい女性方。負けたらどうなるのかはわかっているのであろうな?」
結局
「まぁ、負けたら負けたでその時です。それより、いつ私たちが3人だけだと?」
アンがそう言い放ち、わらわらと周りから増援が出てくる。
ただし、子供たち。
最初は数に驚いた様子だった兄も相手が子供なのを見てうすら笑いを浮かべる。
なんかこの感じを見てる限り、最初の愚直な熱血漢と言うよりはかなり狡い考え方をしてるように感じるな。
敵役としても3流というか少年漫画にいてもヘイトを買うだけで人気は出そうにない。
そう考えると人気のある敵役って凄いよな。
何なら作者のセンスが最も問われるかもしれない。
「は! 数だけ揃えたって戦いってのは勝てないもんなんだぜ、姉ちゃんたち」
それにしても舐め過ぎではあるが。
わざわざこっちは準備して本拠地の人数揃っているところに乗り込んできているんだぞ。
それも特別こちらが追い込まれているわけでもない。
そりゃもうこちらが主導権を握っている。
バランスよくアン、ドゥ、トロワが120度ずつで囲んでいる状況だが、さあここからどうするのかな。
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