120日目 広告塔
「ふんふふーん」
「……ご機嫌だね」
「なんたって今日は久しぶりのお出かけですから! そう言うプリンセちゃんだって楽しみでしょう」
「……うん」
エルフとの戦い、もはや蹂躙ではあったが、が終わってからおよそ10日後。
久しぶりに車いすにリブレを乗せての買い物になる。
ハンネに車いすを作ってもらったはいいものの、あまりに隙が大きいため用心してあまり利用していなかったのだ。
10日ほどおいてエルフがもう何もしてこないことを一応確認できたのでいいかという判断になった。
「レインちゃん、それ、かわいいね」
「でしょう!? リブレさんに買ってもらったんですよ! あまり着る機会はなかったですけど……」
ひらひらしたワンピースという点では普段来ているものと大差ないんですけど。
絶対に汚せませんからね。
家のクローゼットに飾られているだけの存在になっていたとしてもしょうがないでしょう。
「へぇー、いいなぁー……」
「リブレさんが帰ってきたらプリンセちゃんも買ってもらいましょう。私ももっと買ってほしいですし」
リブレが基本的に無一文であるという事は2人は考慮していない。
レインはリブレがいざとなれば王様から巻き上げてくるだろうと思っているのだ。
プリンセは何も考えていない。
「……でも、わたしにも、売ってくれるかな……?」
「それなら心配はいりませんよ」
リブレが服を買ってくれたお店へと向かう。
「いらっしゃいませー! あ、レイン様!」
「こんにちは! 今日もお願いします!」
「……もしかして、よく来てる?」
そう、実はリブレがこのお店にぶちぎれた後、お店から正式に謝罪があったのだ。
というのも、レインのような美少女がお店の商品を着て歩いていたため、その日の売り上げが良かったらしいのだ。
そういう背景もあり、気に入ったものがあれば割引して売る代わりに広告塔になってくれという契約が成立していたのだった。
「今日はプリンセちゃんも連れてきたんですけど、どうでしょう?」
「もちろん大歓迎です! 腕によりをかけてコーディネートさせていただきます!」
「え。レインちゃん、わたし、あんまり……」
「何を言っているんですか! リブレさんが帰ってきたときにもっと可愛くなってこんなに可愛い子を放りっぱなしにしていたのかと公開させてやらなきゃいけないんですよ!?」
「……そんなこと考えてたの?」
レインは自分が可愛いという事を十分に自覚している。
ナルシストかと思われるかもしれないが、決してオーバーな感覚ではないため、問題にならない。
変わって、プリンセはあまりそのあたりに頓着はない。
リブレに好かれたいとは思っているが、少なくとも自分に好意的であるのでいいかと考えているのだ。
要するに、受け身なのである。
「あの朴念仁は自分から頑張らないとだめですよ!」
なにせ、感情が視えるのに私から告白させるような人なんですから!
割と根に持っていたのであった。
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