104日目 殺意
「じゃあ、お前ら。うちのお姫様を迎えてやるとするか?」
「……承知しました」
むこうも、覚悟は決めたようです。
「プリンセちゃん。リブレさんもいませんし、本気でいきましょう」
リブレさんは基本的に相手を傷つけることを望みません。
どこか遠くの方から来たと言っていましたが、そこは安全な場所なのでしょう。
それにしてはリブレさんは戦闘自体に忌避感がない気がしますけど。
エネミーは多いけど、人との争いはないとか?
でもリブレさんのレベルは1でしたし、人に苦い思い出もあるようでしたね……。
まぁ、何が言いたいかというと。
リブレさんの前では相手を傷つけるのはほどほどにという約束が私とプリンセちゃんの間ではあったのです。
なぜなら、リブレさんが辛そうだから。
ただ、今はリブレさんは見ていません。
「本気で撃退しようとするのと、本気で殺そうとするのは訳が違うんですよ」
軸となるのは雷魔法です。
なぜなら、速いから。
致命傷を負わせずとも、動きの阻害が出来ます。
闇魔法は届いてくる敵の魔法や矢を消滅させます。
リブレさんの魔法には消滅までに時間がかかっていましたから、恐らく本人の実力に関係して時間がかかったりするのでしょうが、エルフに私以上の使い手はいません。
「しっ!」
「!」
ギャリッ!
エルフの長。
いえ、長を操っている人が槍で襲い掛かってきました。
しかし、長は私の担当ではありません。
「……レインちゃんには、近づけさせないよ」
プリンセちゃんが戦いたいと言っていましたから。
「おいおい、お姫様よ。自分より年下の女の子に守ってもらってる気分はどうだい?」
中の人の本性が、もう隠す気もないのでしょうが、出てきて煽り性能が高くなっていますね。
「……勘違いしないで」
「ん?」
「……守られてるのは、あなただよ」
プリンセちゃんの屈託のない笑顔。
怖いですが、頼もしすぎます。
「……レインちゃんじゃ、あなたが苦しむ前に死んじゃうからね」
ズバンッ!
「ぐっ……」
「……細切れにしてあげる」
「ということで、プリンセちゃんに一番の実力者は任せましたからね。雑兵は私が相手しましょう」
さぁ、どうしますか?
「……我ら、エルフの精鋭が……!」
「そんなこと言ってるから弱いままなんですよ」
元々、エルフは強くなりやすいようになってるんです。
人間よりもレベルが上がりやすくて、魔法への適正も高いです。
お母さんは、共生のために人間と協力すべきだと言っていましたが、私はそれ以前の問題だと思います。
初期能力の高さにかまけて努力をしません。
それでいて、他の種族、特に人間を見下しています。
正直うんざりなんですよ。
「反省なんて望みません。死んで向こうで後悔してください」
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