43日目 協会

「あ、そうだ。おい、キラよ」

「なんでしょう?」

「あいつらは来ないのか? えっとなぁー……」


協会についてから10日ほど。

形式的な手続きが多すぎて満足に動けていないけど、リュートさんが世話を焼いてくれるから退屈はしないね。


「あれだ! リブレってやつと、レインってやつ!」

「2人がどうかしましたか?」


ここで2人の名前が出るとはね。


「いや、そいつらも確か二つ名ダブル持ちだっただろ?」

「まさか全員の名前を覚えてるんですか?」

「ん? まぁな。同業者のことは気になるだろうが」

「キラ、気にすんな。そいつは順位とかの数字が好きなだけなんだ」

「いや、おっさんよー。順位を上げてきてる奴らは気になるだろうが」

「まぁ、それは否定せんがな」


「2人は今動けない事情がありまして……」

「ふーん、そうか。俺がそっち側に行くことはないからな。戻った時には協会に来てみるようにでも言ってみてくれ」

「一応、覚えておきます」


いつリブレ君が動けるようになるかはわからないけどね。


「ところで、カイル殿」

「あぁ、掛け合ってはいるが、まだだな。まぁあっちも忙しいだろうから我慢してくれ」


カイル殿には上位1桁の方へのアポイントをお願いした。

僕ごときじゃ会うことは出来ないからね。

ただ、カイル殿くらいになると時間をとってもらえるらしい。


そもそも、9人しかいない1桁は神様が認めたこの世界で影響力の高い人たちである。

放棄している人も少しはいるらしいけど、基本的には協会にいて各国の統率などに当たっているらしい。

僕もここに来るまで知らなかったけどね。


ただ、戦力をここに集中させるわけにもいかないから、基本的には1人在中で、他の人は各地で何かしらの対応に追われているらしい。

そして、そこからあがってくる情報をまとめるのがここに残っている1桁の人の役割らしい。

つまり、1桁ともなると国に属するには過剰な戦力となり、協会に属するという形になるようだね。


「情報伝達はどのように行っているのでしょうか」


僕が走っても各地を回るのには時間がかかるよね。

もちろん、僕より速い人もいるんだろうけど、それだとその人の負担が大きすぎると思うんだけど。


「それはトップシークレットになっている。噂では、1桁にだけ共有される何らかの通信手段があるとか。まぁ、俺たちには関係のない話だ」

「おいおい、おっさん。老い先短いあんたにゃ関係ないかもしれんが、俺にはまだ可能性あるんだからな?」

「あぁ、そうだな。悪かった」


1桁の順位変動はあまりないはずなんだけど、それでもいけるかもしれない実力者なんだよね、リュートさんは。

凄いなぁ。

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