33日目 訪問
「よぉ、特使殿。わざわざご足労頂いて済まないな」
「ご無沙汰しております」
「で、リブレの様子はどうだ?」
「現在は変わりはありません。寝たままですが、容体は安定しています」
カイル殿もリブレ君とは仲良くしていたからね。
気にもなるだろう。
「で、プリンセちゃんは?」
「はい?」
「プリンセちゃんもあいつにつきっきりなのか?」
「あ、はい。そうだと思います」
「ちっ」
凄い舌打ちだ。
「まぁいい。俺にもあいつには恩があるからな。今回の戦で国同士は対等という形になったが、個人としてあいつに報いるのも悪くない。で、俺に何をさせたいんだ?」
「話が早くて助かります。しかし、口調が戻ってしまっていますが」
「あ? 気にすんな、気にすんな。どうせ体裁を整えるためだろーが」
それはそうなんだけどね。
「では、要件をお伝えします。今回、協会の方に取り次いでいただけないかと」
「協会ぃ? それならエルランド王でも十分だろうが」
「いえ、我が王では、足りないのです」
「……
もちろん王も二つ名をお持ちではありますが。
序列を持っておられません。
姫は持っておられますが、国を代表する立場にありませんし、カイル殿は序列もかなり高い。
つまり、上に掛け合える可能性が高い。
「お前、向こう側は魔境だぞ?」
「心得ています」
【先見の明】を持つ26位のカイル殿をして、魔境と言わせる
つまり、二つ名持ちの上位勢である。
通常の理以上のものを引き起こすことが出来る者に与えられる二つ名。
その上位勢ともなればリブレ君を復帰させられるような能力を持っている人もいるのではないかということだ。
「うーんとなぁ。いや、俺もいく用事があるし、お前も97位だっけか?」
「98です」
「序列持ってるから入れられないってことはないだろうが、遊ばれることは覚悟していかないと終わるぞ?」
いつもは陽気なカイル殿がいつになく真剣な顔で忠告をしてくるね。
「いつ出発だ?」
「すぐにでも」
「そうか。まぁそう焦るな。出発は明日だな。俺とお前なら護衛も必要ないから行程も早いだろう。今日は部屋を貸してやるからゆっくり休め」
「ありがとうございます」
「また随分綺麗な部屋だね」
部屋に案内してくれた侍女に声をかけるけど、反応してくれないし。
自分の部屋が簡素な分、こういう部屋には慣れないな。
「では、何かお申し付けがありましたらお呼びください」
「うん、ありがとうね」
パッと部屋を見渡してみたけど、怪しいものは無いし、大丈夫かな。
明日に備えて、準備するとしようかな。
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