30日目 拝命
リブレさんが寝たままになってから30日が経ちました。
すぐに回復することはないだろうとは思っていましたが、ここまでくるとも想像していませんでした。
お世話は手馴れてきましたが、そう楽観視もしていられません。
リブレさんの症状がこれだけとも決まってませんし、いつ悪化するかもわかりません。
「レインちゃん、あまり無理しないようにね」
「エルメさん……。ありがとうございます。でも、プリンセちゃんも頑張ってくれてますから、私が頑張らないわけにはいかないです」
そもそも、リブレさんが頑張ってくれた結果こうなっているのですから。
多少は頑張ってもおかしくないです。
「うーん、まぁ、プリンセちゃんはちょっと体の構造が違うからね。比べるのもどうかと思うわよ」
プリンセちゃんは獣人族ですが、これは恐らく獣人族が肉体的な疲労に強く、また回復も早いということを言っているのでしょう。
「そうなんですけど……」
「彼女としてのプライドってやつ?」
「……」
エルメさんにはリブレさんを探していた旅の時に洗いざらい聞き出されているので今更隠し事は出来ません。
ニヤニヤして面白がっているのにはちょっと腹が立ちますが。
「いいわねぇ。リブレ君も早く帰ってこないとこんないい子すぐに取られちゃうわ」
「それはないです」
リブレさんには、自分のことが嫌いになったらいつでも言ってくれと言われていました。
リブレさんはそんなこと聞かなくても視えているはずなのに。
強い人ですが、以前マイナスな感情に晒されて吐いてしまった時のように、弱い一面も持っているのです。
むしろ、キラさんのように完璧な人だったら私も好きになっていないでしょう。
「お? レインちゃん、いい顔してるわね」
そんな私の考えを見透かしたようにエルメさんが笑います。
考えが読めるのなんてリブレさんだけで十分です。
「キラよ。首尾の方はどうじゃ?」
「は。ドルガバの方の情勢も落ち着いてきまして、そろそろこちらに来ることのできる頃合いではないかと」
「そうか。マレイユ。お主はどう思う?」
「あなたのお好きになさってよいと思いますよ」
「……そうじゃな」
「では、キラよ。お主にドルガバへの特使としての権限を与える。くれぐれも失礼のないように」
「拝命いたします」
まぁ、僕は常日頃からドルガバには出入りしてるし、権限は今のままでも大丈夫なのだけれど。
それ以上の権限を渡されるという事はそういうことだ。
さぁ、僕の
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