好戦的民族
「こいつらも捕まえてきたから。お前らで説得して大人しくさせといてくれ」
無事に全員かどうかはわからないが、大半は気絶させ、また地下へと運んできた。
しかし、眼前で絶望を感じたこの人たちとは違い、こいつらは急に目の前に現れた奴に気絶させられただけなのだ。
地下で特に何もできないとはいえ、家の下で騒がれるのも面倒だからな。
だが、こいつらを運んでくるときには、中々苦労した。
ドナ〇ナが聞こえてきそうな感じでリヤカーに積んで運んできたのだが、見るからに死体を運んでいる人達であった。
日本でやっていたら間違いなく通報されて職質されるまでもなく即逮捕案件だっただろう。
「こ、この人たちは……?」
「気絶してるだけだ。うちのメイドを襲おうとしたからな」
「命知らずな……!」
「お前らもそうだっただろうが。とにかく、説得できるだけしといてくれ」
さて。
「お前らも、悪かったな。ちょっと不快なもの見せたかもな」
「なんかちょっと口調が荒くなってるわね……。配慮してくれてありがとう。でも、私たちも慣れていかなきゃだから」
リアーネが気丈に答えるが、少し顔が青い。
そりゃ社長が友人と一緒に帰ってきたと思ったら続々と死体のような気絶している面々を運んで来たらそんな反応にもなる。
「……慣れていかなきゃってことはないと思うけどな」
「いえ、私たちも自分の身は自分で守れるくらいにはなりたいわ。リブレのように、他の人までというわけにはいかないだろうけど。迷惑をかけないように」
そんなこと考えてたのか。
「もしかして、この頃終業後にメイドたちとこそこそやってるのはそれか?」
ギクッとした顔をするみんな。
分かりやすすぎかよ。
いや、負担にならないのならいいんだけどさ。
「無茶はするなよ? メイドたちの負担も心配だから、そこも無理強いはするな」
「わ、わかってるわよ」
ちょっとむくれるリアーネ。
「どうした?」
「いえ、なんでも? 私たちのことより、メイドさんたちの方が大事なんだなって」
「? そりゃそうだろ」
いわば、正社員とバイト。
いや、それ以上の差がある。
俺の勢力圏に合って、見過ごせないというのは変わらないが、優先度合いには遥かな差がある。
「わかってたわよ。もう……」
?
まぁ、いいや。
あんま関わんない方がいいや。
戦闘を教えるのはメイドたちの方がいいしな。
リオンが最善だが、魔王業の習得で忙しいし。
俺は教えられ程体系的に身につけてるわけじゃないからな。
その点、メイドたちはしっかりと基礎から指導されて身に着けてきているからな。
実戦経験が少なかったから俺が教える立場になっていたというだけで、体術とかだけに限ればメイドたちの方が普通に強い。
搦め手を含めれば、俺の方が上というだけだからな。
しかし、男性陣に続いて女性陣にもそんな動きがあるとは。
この世界の住人は本能的にそうなるようになっているのか?
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