情報の有用性

「じゃあ、とりあえずのところは文句はないってことでいいな?」

「「「はい」」」

「じゃあ、下に戻って金品出すように言ってくれ」

「「「はい」」」


地下室に3人を戻す。


「本当に全員分の食料を賄うおつもりで?」

「そりゃそうだ。生かしておかないと意味ないからな」


刺客を送り込んだ側からすれば、一番避けたいのが中途半端に人質に取られることである。

俺たちを始末できればそれが一番いい。

負けたとしても全員殺されれば情報が漏れることはない。

しかし、生きたまま捕らわれると情報漏洩が問題になってくる。

いくら情報を与えないと言っても限界があるからな。

逆に、与えられた未確認の情報は嘘の情報である可能性があるから信用しない方がいい。

聞き出すべきはあいつらが本当に見たもの、そしてその印象である。

向こうがこいつらを見捨てるつもりで交渉に応じなくてもそれはそれで予想通りなのである。


「よって、生かして情報を手に入れる」

「なるほど……」

「さっすがリブレー!」


いつものように座っている俺を抱きかかえるリオン。

背中が非常に心地よい。


「で、ラーメン屋だが、通常通りの営業だ」

「相手に、襲撃が何でもないものと思わせるため、ですか……?」

「正解だ。向こうは一体を抱える領主だ。数を重ねれば行けると思われればいくらでも動員してくるだろう」


それも、少なくとも3領主分。

いくらなんでもこちらにも限度がある。


「そういう意味で、今回はド派手にやったが、今度からは自重する。そもそも、次なんて来ないのが望ましいんだがな」


家の周りが焼け野原と化しているのだ。

爆弾でステッド・ファストが多少吹き飛んだとはいえ、家自体は完全に無事。

それがまた違和感が凄い。


「とりあえずは、遺体を処理させようと思う」

「外に出してもよろしいので?」

「だから、リオンの監視付きで各陣営から数人ずつだな。いずれ各家に戻った時に遺品の一つでも持って帰れるように配慮はするつもりだ」

「わかったよー」


事務的に処理を進めていく。


「……リブレは、強いねー」


俺の背中に引っ付いているリオンがそんなことを言ってくる。


「ん? なんのことだ?」

「……何でもないよー」


……まぁ、{心配}してくれてるんだな。

強いもんかよ。

こんな戦争の処理なんかやったことない。

戦没者に対する形式も知らない。

だから、感情消して事務処理として考えているだけだ。


……ほんとに。

こればっかりは無理だ。

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