もう混ぜちゃえ
「じゃあ、また料理できるやつを連れてきてくれ」
「はい。お邪魔しました」
領主が帰っていった。
「ご主人様。本当に良かったのですか?」
「不満か?」
「いえ、ご主人様に意見など恐れ多いですが、決断までの時間が早かったように感じましたので」
「確認ありがとな。だが、まぁ間違っていないとは思うぞ。仮にうまくいかなくても俺たちへの損害はあまりないだろうしな」
ここで俺たちとわざと対抗するように塩ラーメンとか教えた場合、向こうに上手くやられれば喰われる可能性はあるが、全くジャンルの違うものを教えるつもりだからそれもないだろう。
なにより、俺は気にしていないと言っても性格的にどこかで埋め合わせをしようと考えているだろう。
そういう風に誘導したからな。
我ながら中々にあくどいが、向こうもそれは織り込み済みのようだった。
まぁ、話が早いという事にしておこうか。
「ねぇー」
「なんだ?」
「教える料理ってなぁにー?」
「あぁ、じゃあ先に作ってみるか。実際に来た時に失敗してもだしな」
それに一回作れば俺よりもメイドたちの方が上手く作ってくれるだろう。
「まずは、色んな部位の肉からだな」
「こちらにございます」
「おぉ。用意がいいな」
「ご主人様のどんな要望にも応えるべく取り揃えておりますので」
買いすぎかと一瞬思ったが、リオンは出されれば出された分だけ食べるので廃棄していることはないからな。
それでもあのスタイルを維持しているのだから、普通におかしい。
特にカロリーを消費することはやってない気がするのだが。
実はアンリさんのとこに行ってやってるのが凄いハードだったりするのだろうか。
「まずは、色んなとこをそれぞれ取り出して混ぜる。この時、全部同じくらいの大きさの粒にするのが大切かな」
「はい」
リオンはわくわくと見ており、オーシリアは椅子で眠りこけているが、メイドたちは俺の真似をして俺より遥かにクオリティの高いものを作っている。
「で、本来だったらこの混ぜる時にあんまり潰すものではないんだけど、今回はどうせ潰すから思い切りやっちゃっていい」
「なるほど」
グニグニ。
こねこね。
「これがひき肉だ。で、これに細切れにした野菜と、まとまりをよくするために卵やら小麦粉やらを適量だな。形が崩れなけりゃいい」
「はい」
ここまで言えばわかるだろう。
そう、俺が作っているのはハンバーグである。
理由は、主食系であるラーメンに対し、主菜だから。
そして、何より俺が食べたいから!
以上!
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