家凸
「しかし、ご主人様。そう簡単に諦めても良いのですか?」
「いや、そうなんだよな。実際のところ」
結局、あてがないのである。
あてがないから孤児院に目を付けたわけだしな。
「いや、しかしな、嫌われ過ぎだろ。一応手紙戻してくれたってことは一定の礼儀は尽くされてるんだろうけどさ」
内容はあれだったけど。
「まじでなんであんなに嫌われてるんだろうな」
俺がちょっとフード被ってたからってあんなことなるか?
そこらへんはまぁ聞いてみたらわかるんだろうが、この感じだと教えても貰えないだろうな。
こっちでちょっと調べておくしかないか。
ラーメン店は順調なだけに、早いところで雇用したいものである。
3日に2日店を出すペースで、少しずつ店を開く場所を動かしながらになっている。
狙い通り話題にもなっており、店員が揃いもそろって美人だというのにも注目が集まっている。
具体的に言えば、おじさまのリピーター率が凄い。
予想とは違う形でではあるが、リピーターの確保も出来ている。
「そうです。ラーメン店を孤児院の方へ動かすのはいかがでしょう」
「それも考えたけど、正直微妙なんだよな」
小さい子たちは手放しで喜んでくれるとは思うけどな。
顔が割れてるから、上の方の子たちには機嫌を取るためのパフォーマンスだと取られる可能性が高い。
事実だが。
それに、ラーメンも安めとはいえ、それなりにする。
家の前まで行って高くて食べれず、美味しそうな匂いだけ振りまいていくというのは中々に絶望である。
とりあえず、だ。
話すしかないんだろうな。
「どうもこんにちはー」
「……」
窓からこっちを見ていた小さな子たちが奥の方へ走っていった。
うーん。
今回は最初からフードを被らずに来たのだけれども。
子供にはむしろ悪手だったか?
恐らく、向こうで「なんか白い人が来たー!」って感じに言われてるんだろうな。
まぁ、それで一体何の話かと出て来てくれればありがたいまであるが。
「どちら様ですか?」
ドアから体を半分出して例の女の子が出てきた。
前来た時は気が付かなかったが、眼球が少し黄色いな。
ぱっと見ではわからないが、ちゃんと見ると色々細いのがわかる。
これはちょっと栄養が足りていないようだ。
しかし、小さな子たちはそんな感じには見えなかった。
上が気を遣ってやってるんだろうな。
「えっと、この前手紙を差し上げた者なんですけど……」
「そのお話しならお断りしましたよね」
パタン。
ドア閉められた。
ガチャ。
開いた。
「ボールはありがとうございました!」
バタン。
閉まった。
俺はどうすれば……?
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