報酬は体で

子供の一人が反応したら他の子供たちが自分も自分もとならないはずはない。

しかし、残りで無料なのはたった4杯なので、どうしても買わなくてはならない人たちは出てくる。

しかし、このラーメンはあまりトッピングとかに拘っていない分、安上がりにすんでいるので出しても良いかなという価格設定となっている。


そして、遠巻きに見ていた大人たちも一人がお金を出せば自分も良いかとゾロゾロと寄ってくる。


ここで畳み掛ける!


「数量限定になりますので、残り100食になります!」


数量限定と聞くと人は急いで買おうとする。

みるみるうちに増えていく伸びていく列をメイドたちが驚異の仕事率で溶かしていく。

その間にリオンが100人を数えて、その後ろに並んでいた人たちに券を渡していく。


「また明日も来ますので、良ければ来てくださいねー。こちらを持ってきて頂ければ優先的に提供するよー」

「あ、そ、そうかい? なら、明日も来ようかな」


リオンの笑顔のパワーでごり押しである。

美少女から来てほしいと言われてそうそう断れる人はいないだろう。

顔が良いというだけでコミュニケーションには基本的に困らないのだ。

リオンの明るい性格もあって、券をもって明日も来ようかと話ながら帰る人多数。


しかし、この全員が来てくれるかと言うと、そういうわけでもない。

家に帰って冷静になれば、この為だけに家から出てくるというのはかなり面倒なことだと考えるかもしれない。


しかし、この券がなければ来てくれる確率もかなり下がるだろう。

仕方のない落としどころだ。



「完売になります! また、明日、本日よりも数を用意してお待ちしておりまーす!」


メイドたちがペコリと優雅に頭を下げ、てきぱきと片付けて帰っていく。

スープの残り香を道に残しながら。

ものの1,2時間で売り切れたことを考えると、初日としてはかなり成功ではなかっただろうか。

メイドたちの仕事の回し方も凄かった。

優雅さを失わず、超速でラーメンを提供し続けていた。

比較的多かった子供連れには小皿をあげることも忘れてなかったしな。

感情を視ていた限り、好印象を持っているものが大半だった。


「ご主人様、ただいま戻りました」

「あぁ、お疲れさん」


なでなでと3人の頭を順々に撫でていく。

雇用契約にあたり、3人が報酬として要求したのだ。

もちろん、金銭も報酬として出すが、なでなで分差し引かれている。

それでいいのかと言ったら、


「「「何よりの報酬です!!」」」


と押しきられた。


「私もー」


リオンはハグだ。

ハグはなでなでよりも差し引かれる金額を高くしたのだが、それでもということだった。


「はい、よく頑張ったな」

「えへへー」


リオンの方が背が高いので顔の真下くらいに双丘がくることになるが、できるだけ意識を逸らして誉める。

正直、この後どうなるかわからないので出来るだけ売り上げは取っておきたいのだ。


仕方のない措置だ。

別に「これ、俺にプラスじゃね?」とか思ってないし。

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