帰宅

「カッコ良かったよ、リブレー!」

「うっ!」


部屋に戻ってきた途端にリオンが腹に突撃してきた。

ただ抱き着かれるだけで3メートル吹っ飛んでベッドに落ちた。

これベッドなかったら割とえぐくね?


「お褒め頂き……光栄ですよ……。うっ!」


今度はお腹周りをギュッとされたことによるものである。

なんか食べてたら出てたかもな。


「もうこれは結婚するしかないよねー?」

「いや、それは違うだろ」


どんな強引な論法だよ。


「で、挨拶回りは終わったわけだが、これからアンリさんのとこに戻るんだよな?」

「そうなっちゃうねぇー……」


リオンは帰りたくなさそうだが、そういうわけにもいかない。


「私たちはどういたしましょうか……?」

「ん? ついてきていいんじゃないのか?」


別にアンリさんと会っちゃいけないとかないだろ。

え、あるのかな?


「一応、神様なんだけどねー」


確かに。

俺の元の世界だと神なんてそもそも目に見える存在として定義されてるかどうかすら怪しい。

ヘスティアさんとアンリさんがいるからそういうもんだっていうのを忘れてた。

そりゃそうだ。


「じゃあ、街までついてきて、アンリさんの家には俺とリオンがいくか」

「しかし……」


メイドとしてはご主人様おれから離れるのも許容できないわけか。

中々なジレンマというか。


「よし、わかった。俺の命令として、一緒に来い」

「「「かしこまりました」」」


命令にしてしまえば、3人はちゃんと来るしかないからな。

決断できないなら俺が決めてしまえばいい。


「さあ、帰るか」




「あぁー……」


帰ると、アンリさんが仕事中だという事だったので、先に温泉に入ることにした。

ここは男湯と女湯が分けられているから、闖入の心配もない。

久しぶりにゆったりとお湯に浸かれている気がするな。


まぁ、特に疲れるようなことはここ最近はなかったのだが。

リオンのお母さんのとこ行ってからもう1か所行ってきただけだし。


この後はどうしようかな。

もちろん、第六界には戻りたいのだが、なにせこっちで出来ることがない。

このままニート化するというのも手だが、リオンの関係でややこしいことが回ってきそうな気がするからそれも難しいだろう。


しかし、どうだろうな。

最後こそ俺がリオンと結ばれる気がないと明言しているが、途中ではそれほど強く言っていない。

となると、王権ならぬ、神権を狙っている者にとっては、リオンが身を固める前の今がラストチャンスという事にならないだろうか。


もちろん、第一目標はリオンだろうが、それと同じくらい俺も狙われる対象だろう。

しかし、こっちにはアンリさんもいるしリオンも強いことは承知の上だろう。

なら、最悪、各領主が手を結んで攻めてくるなんてことにならないだろうか。


……。

…………。


ヤバいな。

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