同レベルの争い
俺はメイドたちがこっそりと入ってきても反応できるくらいの警戒心は保っていたはずなんだけどな……。
まだ整理が追い付かない頭でぼんやりと考える。
カチャ。
「おはようございます、ご主人様。本日は出発の日でございますが……」
当然のように鍵を開けて入ってきたアンの声がリオンを見つけて次第に小さくなっていく。
「……ご主人様」
「……なんだ」
「致したのですか」
「なんのことかな!?」
妙に生々しい言い方をするんじゃないよ!
「起きたら横にリオンがいたんだ。俺は何もしていない」
「なるほど。つまるところ、抜け駆けということですね」
ツカツカと歩いてきたアンはリオンの寝顔の額をひっぱたいて叩き起こす。
「あいたぁ!」
「バンフリオン様。いくらあなたでも抜け駆けは許されませんよ?」
「え、えーと。弟君と一緒に寝ただけだよー?」
「それを抜け駆けというのです」
キャンキャンと同じレベルでの言い争いが続く。
仲良いね君たち。
「そもそもなんだけどー。弟君と私に対する扱いが違いすぎないかなー?」
「私たちが仕えているのはあくまでリブレ様にでありますので」
「で、でも、私は弟君のお姉ちゃんだよー?」
「自称お姉ちゃん(笑)であっても私たちの態度は変わりません」
「自称じゃないもん! なんかお姉ちゃんの言い方に含みもあった気がする!」
もう絶妙な掛け合いである。
「ほらほら、じゃれついてないで、早く準備するぞ」
良い喧嘩仲間(?)になりつつあるようだ。
同じレベルにいるのはどうなのだろうか。
ってかお姉ちゃんが自称じゃないってなに。
どこから他称されてんの。
そこから4日後。
2つの街を通り抜け、特に情報を得ることも出来ないまま辿り着いてしまった。
「じゃあ、誰か2人で約束を取り付けてきてくれ」
万が一のために2人でメイドを行かせる。
「かしこまりました」
「俺たちは宿にいこう」
宿の確保があるのでトロワが残り、アンとドゥがアポを取りに行った。
「主、この布があるとわしが掴まりづらいんじゃが」
「その話はもうなんどもしただろうが。そんなに嫌なら自分で歩け」
「それも嫌じゃ」
オーシリアは俺が被っているローブがお気に召さないようだ。
確かに掴まりにくいのだろうとは思うが、なら歩けというだけの話である。
まぁ、フードまで被ったやつが背中に幼女のせて周りの美女たちを侍らせながら移動しているというのも中々にヤバいとは思うけど。
それぞれの街に入る際に門番とかがいなくて本当によかった。
「約束が取れるまではどうされるのですか?」
「そんなの決まってるだろ?」
お金に余裕があり、やることもなく目立つようなこともできない。
なら、どうするか。
「集団引きこもりだ」
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