関係あるなら結局嫌だ
「あははっ!」
リオンが大槌のようなものを振るう度、男性の中でも大柄な人たちが吹き飛び、地面に落ちる。
リオンが本気であれをやったら当たった部分が消し飛ぶはずだから吹き飛ぶように加減してはいるのだろうが、あれは死なないのか?
俺があれ貰ったら落ちた拍子に死ぬぞ?
それを超笑顔でやってるというのも中々だ。
「はっ!」
ガキンッ!
アンが盾で受け、トロワが鞭で相手の足をとったところでドゥが発頸もどきで1人ずつしっかりと倒しているメイド3人衆。
3人の戦闘を意識してみたのは初めてだが、一番驚いたのはドゥだな。
鍛冶出来るのに本人は武器使わんのかい。
「大丈夫ですか!? もしもし!」
え。
俺が殴った偉そうにしていたのっぽが起き上がってこない。
あれだけで気絶したのか?
実力至上主義の第七界だから偉そうにしてるってことは強いんだと思ってけっこうガチで殴ったんだけど……。
のっぽを起こしている奴とは別に俺に襲い掛かってくる奴をステッド・ファストで妨害し、誘導しながら順番に柄でのどとかみぞおちを突いて戦闘不能にしていく。
俺は結局、まだ自分で人を斬ったことはない。
殴るくらいなら出来るが、やはり斬るとなるとブレーキがかかってしまう。
小太刀の刃をなくしてもらうことも考えたが、それではもしもの時が危ない。
よって、柄を丈夫に作ってもらって基本的に打撃として使うことにした。
刃こぼれの心配もないから、これはこれでありかもしれない。
「こいつら……!」
「ほら、手を出してはいけない奴らに手を出したんだ。しっかり代償は払って行けって」
何か言おうとした奴のセリフなんか待つわけもなく。
むしろ動こうとしたやつから潰していくので誰も何も出来ない。
そもそも、俺の魔法が特殊過ぎて対応できないのだ。
「もうー、弟君ったらー! そんなに私たちが大事だなんてー! 知ってるからもっと言っていいよ!」
「あれ? 俺そんなこと言ったっけ?」
あらかた片付け終わったリオンが頬に手を当て、妙にくねくねしながら都合のいい解釈を口にする。
メイド3人衆の方を見れば、3人とも顔を赤くしてこちらをチラチラと見ている。
……うん。
余裕そうで何よりだ。
「うん、まぁ、そういうわけだから。起きてからもっかい考えろ」
のっぽを起こそうとしている最後の1人もしっかりと気絶させ、道に放ったまま先へと進む。
「手ごたえが無かったのじゃ。面白くないのぅ」
「面白いとかないからな?」
感想を話しながら馬車に揺られる。
「弟君もお姉ちゃんたちのことであんなに怒ってくれるとはねー」
「……まぁ、あんな言い方されたら怒るだろうよ」
「ありがとうー」
撫で繰り回される俺。
「「「私達のために怒っていただきありがとうございました」」」
手綱を握っているアンも含め、ドゥとトロワが頭を下げる。
俺は天邪鬼だからな。
こんな言い方をされたら素直に言えなくなるが。
……まぁ、確かにちょっとイラついたよ。
身内を買うなんて言われたからな。
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