確認はしっかりと

「さぁー、行こうかー」

「うん、その前に聞いていいか」

「なにかなー?」

「どうしてもその格好なのか」


一応偉い人のところに挨拶に行くのだからそれなりの恰好をする。

そこまではわかる。


アンリさんの趣味的に和服である可能性もある。

それも予想はしてた。


「にしてもそれ?」


着物のような感じだが、胸元は大きく開けられており、何がとは言わないが、零れ落ちそうだ。

下半身も下まで長い裾はあるが、片側の横にスリットが入っており太ももから下がきれいに見えている。

少し何かあったらその上まで見えてしまいそうだ。


「だってー、胸元は小さくて苦しかったし、あのままじゃ動きづらいんだもんー」

「……ならしょうがないな」


着物っていうのは基本的に日本人が着るようにできている。

日本人のスタイルとリオンのスタイルに絶望的なまでの差があった結果、胸元が締め付けられて苦しかったのをどうにかしようとした結果だったらしい。

確かに斬者は動きづらいし、スリットをいれたんだな。


「どうかなー? 似合ってないかなー?」


リオンがクルっと回ると一泊遅れて胸が到着し、拡がった裾から健康的な太ももが露わになる。


「……似合ってるよ」

「えへへー、そうでしょー」


リオンは褐色の肌で角もあるし、スタイルも日本人のそれとは程遠いが、めちゃくちゃ似合っている。

これは外国人でも着物を着てみるとけっこう似合うどころか凄い似合うじゃん現象なのか当人のスペックが高すぎるが故なのか。

わからんがとりあえず似合ってるから良しとする。

エロいし。


「弟君も似合ってるねー。こう、違和感がないねー」

「それはそうだろうな」


なにせ日本人だから。

時々、「え、お前純日本人なの?」ってくらい顔が濃かったりする人とかいるけどそれこそ俺は日本人の顔を平均したらこうなるんじゃねって顔だし。

違和感なんて生まれようがない。


「主、主。わしはどうじゃ?」

「あぁ、オーシリアも似合ってるぞ」

「うむ、そうじゃろう、そうじゃろう」


想像一発自分も着物姿になっているオーシリアが目の前でピョンピョンして存在を主張してきたのでとりあえず褒めておく。

実際、似合ってるしな。

まぁ、姿が子供なので縁日のようなイメージはあるが。

赤髪でもあまり違和感がない。

こうしてみると着物ってかなり優秀なのではなかろうか。


「よし、じゃあ、どこから行くんだ? 何個か回るんだろ?」

「そうだねー。じゃあ、こっちの方から行ってみよー」


てくてくと歩き出したリオンについて町を離れ、荒野を歩く。

改めてみるとけっこう殺風景だよな。


「で、これはどこに向かってるんだ?」

「んー、わかんない」

「適当かよ!」


即時にUターン。


「な、とりあえずどこに行くか決めてから歩き出そうな?」

「わかったー」


これは毎度確認を取る必要がありそうだ……。

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