実は傷心
「各種族順番に攻撃を開始。攻撃したものから順次離脱。リブレ殿が示す
ライオン族の族長、つまりカイルさんの息子さんが指揮を執っている。
「虎族、進め」
ただ、それぞれの種では長が指揮を執っている。
やはり、自分の種族はそれぞれで動かしたほうが効果が見込めると判断したのだろう。
「はい、この後ろね。ここよりもうちょっと下がってくれたら助かる」
攻撃を終え、順次下がってきた獣人族の方々を誘導する。
基本的に彼らは爪での攻撃がメインだ。
斬る攻撃でダメージが入るのは把握していたが、これが鉄ではなくとも通ることがわかったのはとてもありがたい。
別に銃に限らずとも物理が通ることがわかったからな。
問題は、彼らの誰かが不意に体の一部を持ってかれないかどうか。
ここまでやってもってかれていないってことは恐らく時間経過で何か起こる仕組みなのだろうが、結局確認できていない。
そこだけは本当に怖い。
マレイユさんの隕石によりできたクレーターを登るのに幻想級が手間取っているので今は十分に攻撃が出来ている。
そもそも移動速度が遅いので平面に戻ってもどうにかなるのだろうが、やはり今のうちに削れるだけ削っておきたい。
「首尾はどうだ?」
「上々と言っていいだろうな。未だMPを削られること以外でダメージを負ったものはおらず、周りの掃討戦もあまり消耗がない」
流石武力1本で地位が決まる獣人族の方々。
頼りになりすぎる。
「だがな」
ライオン族の族長が懸念点をあげる。
「ここで調子に乗るのも俺たちの宿命みたいなところはあるんだ。その時は……」
「あぁ、力づくで止めればいいんだろ?」
自明だ。
「この方を誰だと心得る? 虎族にエグいトラウマを植え付けたキラ様だぞ?」
「あ、僕がいくんだ」
苦笑いするキラ。
キラは戦争以降、虎族に病的なまでの恐怖を植え付けている。
ケインも一緒だったのだが、やはり力づくで叩き潰したという事実がでかい。
プリンセはけっこう克服した方だが、虎族の皆からは常に距離を置かれていた。
キラは飄々としている感じだが、けっこう人好きだ。
だから、プリンセが怖がって近づかなかった時も実は悲しんでいたし、現在虎族の誰も話しかけてくれないこの状況は割と悲しんでいる。
自業自得な部分もあると思う。
まぁ、そんなことはさておき。
「結局キラが行くのが一番だろ?」
「……まぁ、虎族の人たちは退いてくれるかもね」
「で、1種族が退いたら全種族退いてくれるさ。どうせ退かない理由は他種族に負けたくないとかそういう事だろうから」
「その通りなのだが、何か言葉に棘があるな……」
族長に悟られてしまったが、そりゃ多少は呆れもする。
事ここに至って面子なんか気にしてる場合か!
「ま、呆れられもするだろうが、ここは俺たちで名誉挽回とするかな」
各族長が並び立つ。
なんだこのア〇ンジャーズ感。
族長、出陣。
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