回復役も時には……
「どちらの魔法も元々かなり希少なほうじゃからのう……」
「そうだよなぁ」
王様に相談しに行ってみたものの、こういう回答が帰ってくる。
全員の能力を把握したときにわかったいたことなのだが、けっこうこの2つは希少なのだ。
「確か、回復魔法ってさ」
「いや、わかっておるぞ。回復魔法は光魔法、水魔法、風魔法に適性がないとできん。しかしな。回復魔法をメインとしている者たちは元々戦闘が苦手なものが多いのじゃ。それを遠くから魔法を撃つだけとはいえ、前線に出すのはのう……」
「いきます!」
近くで話を聞いていたあの気の弱い
「ここで役に立たなくてどうするんですか! あ、ただ……、やっぱり得意じゃないので、守ってもらえると助かります……」
急に弱気になるやん。
「そこは任せろ。攻撃が出来ない俺が防御は引き受ける」
というかもはや防御全般俺の仕事だわ。
「引き受けてくれると助かるが、いいのか?」
「はい! 皆さんのしごきのおかげで大抵のことではへこたれないメンタルが鍛えられましたから!」
「……お主ら、わしは見ておらんかったが、どんなことをしておったのじゃ?」
「いやー……」
俺はけっこう良心的だったと思うんだけどな?
なにぶんキラがな……。
ボッコボコのメッタメタにしていたからな……。
回復するにしろあれで1人も逃げ出さなかったのは本当に尊敬する。
「よし、では回復班から半数を前線に出す。その旨を伝えて来てくれんか?」
「はい!」
指示を受けたお姉さんが走っていく。
「今のところ被害はないか?」
「そうじゃな。多少怪我をした者はおるようじゃが、順次手当てを受けておるし、交代も滞りなく出来ておる」
「そうか、とりあえず心配しなくて良さそうだな」
「何かあったら言ってくれよ? 防御なら多分俺が最適だからな」
「わかっておるよ。さぁ、とっとと行かんか」
半ば追い出されるようにして戻される。
少し進むと、回復役の方々が待っていた。
「行きましょう!」
「あぁ」
やる気十分なようだ。
「基本的に、俺たちが一番前に立つから、その後ろから撃ってくれ」
「はい!」
俺たちが小走りで駆けつけると、先ほどより前線は下がったものの、奮闘している皆がいた。
一部、ちょっとヤバそうなところだけ背中にのせているオーシリアからステッド・ファストで援護が行われる。
「レイン! どうだ!?」
「リブレさん!」
ケインと2人で幻想級と戦っているレインはこちらを振り向くことなく答える。
「恐らく削れてはいるんでしょうけど、なにぶん傷が残らないですから、メンタル的にきついですね!」
相手に自分の攻撃が通っているかわからないというのは本当にメンタルにくる。
いつまで続ければいいのだろうと考えてしまうからな。
「援軍だ! レインとケインの後ろから撃ってくれ!」
「「はい!」」
ほとんどが女性の回復班も戦闘に加わる。
単純に数が増えるのでこれで2人の負担も減るし、削れるようになるはずだ。
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