ラジオ体操は万能です
「よし、いい寝覚めだ」
テントの外に出て、すっかり暗くなった空を見上げる。
天気も良好。
星が見えるほどきれいな快晴だ。
あれ?
ここで言う星は本当に星なのか?
ただの光説はない?
俺が立ってるこの地面も星という事になるわけだが、よくわからん。
俺が起きたのは全体で見れば真ん中らへんの早さだった。
まだテントの中にいる者もいれば、もう外に出て武器のチェックをしている者もいる。
もう全員起きてくるだろう。
ちょっと体をほぐして動けるようになっていなければいけないからな。
そういうわけで俺が1人でラジオ体操をしてると、起きてきたレイン、プリンセ、オーシリアもわからないなりに混ざってきた。
「これ、どういう意図があるんですか?」
俺の真似をしながらレインが聞いてくるが、
「効果としてはウォーミングアップになるのか?」
「なんで疑問形なんですか」
あんまりラジオ体操がなんのためにあるのかなんて考えたことがなかったからな。
ただ、前屈・後屈・ひねり・屈伸とかあるからアップにはなるだろう。
朝に子供が行かされる理由は生活リズムを崩さないようにするためだろう。
だが、大体午前6時30分とかにあってたよな。
流石に早くないか。
ちゃんと起きてる奴でも6時30分は早いだろ。
そっちの方が生活リズム崩れるよな。
だって帰ったら2度寝するもんな。
まぁ、それはさておき。
体をほぐして血流をよくするのが目的だろうし、いいんだろう。
「じゃあ、最終確認に行きますか」
「そうだな」
王様やカイルさんと最後の確認をしにひときわ大きなテントに向かう。
「こんばんはー」
「これで後はハンネだけじゃな」
「まだ来てないのか?」
「そこにおるが、そろそろ起きるじゃろう」
テントの端っこで丸くなっているハンネを見つける。
「こやつは何時間寝ると言ったらその時間が来るまでは絶対に起きんからの。逆にその時間になればすぐに起きるんじゃが」
なんだその特殊能力。
エグイ体内時計持ってんな。
「リブレさんよ、体調は万全か?」
「俺は大丈夫だよ。そういうカイルさんは?」
「俺も絶好調だな。今日ならいつもは見えないところまで見えそうだ」
「それは本当に頼む」
死活問題だ。
「ふあぁぁー……。あれ、遅れたかい?」
「いや、時間通りじゃ。全員揃ったところで始めるかの」
本当にスッと起きてきたな。
「この中じゃと、マレイユ、ルーリア、カイル殿が後衛。それ以外は基本的に前衛じゃ。そこに異論はないじゃろうな」
全員が頷く。
「リブレ、レイン嬢、わしは全体を見ながら指示を出すのも兼任する。カイル殿の見えたものを伝えるのはチーター族、もしくは鷹族のものにお願いしてよいのじゃったな?」
「あぁ、それが適任だろう」
「相手の全容どころか、一端もわからんからの。話し合えるのはこのくらいじゃ。じゃが、最後にこれだけは確認しておくぞ」
王様が全員の顔を見回しながら一拍置いて噛みしめるように言う。
「絶対に、犠牲者は、出すな」
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