ゲームは正しく遊びましょう

「スピード!」


新たにスピードを教えたのだが、結論から言おう。

やってられん。

プリンセの反応速度が尋常じゃないのだ。

俺ではとてもじゃないがついていけない。

むしろなぜレインが互角に戦えているのか知りたい。


手が空を切る音が鳴る中、俺はもう一つのカードゲームの製作にいそしむ。

これなら色々なゲームがあるわけじゃないし。

むしろ俺の得意分野だからな。


「えーと、あとなんだっけ?」


ただ、カードの種類が多い。


「こんなもんか」


そう、俺が作っていたのはUNO。

ちなみにUNOというのはスペイン語で1だ。

残り1枚を宣言するときに使う。

地域によって違いはあるだろうが、俺はUNOを忘れていて他の人に言われたらプラス2枚というのを採用している。

いや、まぁ、俺がそのルールに慣れ親しんでいるというだけの話なんだけれども。


「……ウノ」

「え、あれ? 言ってなかったですか!?」

「言ってなかったな」


渋々2枚ひいて満面の笑みになるレイン。

ババ抜きの時も思ったけど、こいつ賭け事とかむいてないんだろうな。

素直すぎる。


「レイン、今ドロ4引いただろ」

「え、な、何のことですか?」


ほらな。

もはや自白だ。

俺じゃなくてもわかる動揺っぷり。

そこが可愛いんだけど。


「こうです! UNO!」


再度高らかにUNOを宣言するレイン。


「……わたしも」

「俺もだ」

「えっ!?」


2人ともしっかりとドロ4で返す。

俺ルールではドロー系カードは重ねられる。

ドロ4の次に色があっていればドロ2を出すことも可能だ。


よって返されやすく、中々上がることは出来ない。

絶望的な顔になって12枚カードを引くレイン。

ここにきて12枚はきつい……。


「ところで、俺は上がりだ」

「……!」


残り2枚のプリンセを尻目に俺が先に上がる。

俺ルールでは、上がる際のカード枚数に制限がない。

つまり、同じ数字であれば同時に出すことで一気に上がれるのだ。

数字が被っているものを積極的に使っていく派と、あとに残しておく派がいると思うが、俺は断然後者だ。

1枚の使い勝手の悪いものから消していき、同じ数字で別々の色を持っておいて上がりやすくするのだ。

このルール以外でやったことがないからわからないが、これが鉄板なのではないだろうか。


残るは2枚のプリンセと13枚のレイン。

このゲーム、よく考えられているもので、多くのカードを持っていればいるほど減りやすい。

しかも、少ない側が上がれるかどうかは運だし、多い側との駆け引きによってどうにでもなり得る。

手番はプリンセ。

さぁ、どうなる……?


「……あがり」

「そんなぁー!?」


一瞬だった。

まじで一瞬。

プリンセも2枚組で持っていて、ちょうど俺が最後に出した赤が被っていたのだ。

崩れ落ちるレイン。

見事なまでの完敗。


「リブレさんが赤にしなかったら大丈夫でしたよ!?」

「そこまで含めてのゲームだから」


決してチーミングはしていない。

チーミング、ダメ、絶対。

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